生物技術者連絡会研究部会メーリングリスト通信 2020年11月号
<生物技術者が見た風景 〜 近所のスーパーマーケットで>
今月の初め、買い物に行こうと家から歩いて3分のスーパーマーケットに行ったら入口にこんな貼り紙がありました。
これには伏線があります。先月19日に石川県は加賀市、JR加賀温泉駅の真ん前にあるスーパーマーケット内にクマが1頭入り込み、ほぼ半日にわたって居座ったという事件があったのです。きっとコロナ対策として扉を開放していたので入り込んだんですね。それで、県内のスーパー入口にこんな貼り紙が登場したわけ。
金沢の街は後背が奥深い山で、人と獣との距離が近いという話をしたことがありますが、それにしても最近は目撃情報が多いです。市ではSNSを使って市民から目撃情報を集めているんですが、今年はその件数が9月に41件、10月は149件、11月は25日までで55件とかなり増えています。それも普通の住宅団地内で結構な目撃例が。
半日居座った件のクマの胃袋を調べたところ、内容物のほとんどがカキの実だったとのこと。市の中心部から離れた過疎地域では手入れされずに放置されたカキの木がたくさんあります。おいしいカキの実を求めてそこから街中へ、たどるようにやって来るのでしょう。過疎化が進んでいる時代です。これからは、どこの街でもこのような現象が増えてくるんじゃないでしょうか。
<今月のデータ 〜 虫と光と生物技術者 その4>
前回の続きです。虫は紫外線に近い波長の光に良く集まるということですが、最近ほとんどの照明がLEDに変わってきています。LEDもこの光を出すのでしょうか? 照明器具の最大手、パナソニックさんに聞いてみましょう。公開している技術資料に波長分布図がありました。白色のLED照明は青色LEDや紫色LEDに少し他色のLEDを混ぜて表現しているそうで、3つのパターンの図が出ています。
あれっ? どれも虫がよく集まる350~380nmが無いみたいですね。そうすると、LED照明にすると虫が集まらなくなる?本当でしょうか?
そこで私の会社で調べてみました。表にあるHCFLは普通の白色蛍光灯のことです。確かに捕獲される虫の数は減っているようです。半減くらい、ですかね。トラップで白色蛍光灯の代わりに使うとかなり影響出そうです。よく調べると、虫の種類によっては来る数が減らないようで、ヘイケボタルやゲンジボタルなんかLED照明でも光害の影響が出るという報告がありますね。このあたり、可能なら(秘密のデータじゃなかったら)そのうち紹介しましょう。
田舎の田んぼ道を歩いていたら、ホオジロとカシラダカが並んでとまっている光景に出会いました。左がカシラダカですね。冬の草原ではどちらも普通に見られるおなじみの鳥で、一瞬だと見分けがつかないことがあります。ただ、群で飛んでいるとカシラダカの方はぎゅっと固まった形を作りますので、遠くからでも案外見分けることができます。最近はカシラダカを見かける機会が少なくなったような気がしますが、数が減っているのかしら?