生物技術者連絡会通信 2024年6月号
<生物技術者が見た風景〜トンボの季節になりました>
6月に入るとあちこちでトンボの姿が目立つようになりますね。6月上旬に金沢城公園へモリアオガエルの卵隗を見に行って、数が少なくてがっかりしてたら池のほとりでトンボが盛んに飛んでいました。で、目を凝らしてみたら何かおかしな飛び方をする奴が…チョウトンボじゃあないか!
そういえば、全国でも有数のトンボ生息地であるあそこもチョウトンボいっぱいいたな…ということで次の日に福井県は敦賀市にある中池見湿地に出かけたのでした。チョウトンボもいましたが他にもたくさん飛んでましたので幾つか写真でご紹介しましょう。
この日最も多くの数が見られたのはハラビロトンボでした。写真は雄ですが雌は全身ほぼ黄色の色彩になります。湿地際の林縁部を歩くとぶつかってくるくらいたくさん飛んでました。
次に多かったのはコシアキトンボです。黒い体の中央部にある白が鮮やかですねー。こちらは湿地の中を飛び回ってました。
チョウトンボいないかなあと探していたら湿地際に立つ木の梢を飛び回る姿が確認できました。個体数はまだ少なくてこのトンボの見ごろは6月下旬から7月上旬といったところですかね。
この他、イトトンボやアカトンボなど多くの種類がいたはずですが、トンボには全く詳しくない私には飛び姿だけで分かるはずもなく…。トンボ好きの方は是非一度訪ねてみてください。新幹線の敦賀駅から歩いて30分というシチュエーションもいいですね。
<今月のデータ~金沢城公園のモリアオガエル繁殖状況2024>
今年も見てきました。金沢城公園に棲むモリアオガエルの産卵状況です。2020年からの5年間のデータをとりまとめた表をご覧ください。
今年の梅雨入りは大幅に遅れて、平年より半月以上遅い6月22日でした。観察できる卵隗も6月19日までは非常に少なくて、このまま終わっちゃうのかなとやきもきしていたところ、大雨が降った直後の24日に見に行ったら卵隗の花盛り。待ってましたとばかりに40個以上の卵隗が観察されまして、2020~21年あたりでの観察数に迫る数になってました。ここ数年は観察できるピーク時の卵隗数が30個くらいでしたのでちょっと安心。しかし、昨年見たカメ達のうちアカミミガメと思われる個体はいなくなっていたもののスッポンは3頭残存。1頭は幼体なのでここで繁殖した? スッポンは珍しいから駆除せずに残そうと思ったのかしら。スッポンのほうが全然獰猛なのに、心配だなあ…。それではモリアオガエル君、また来年の6月にお会いしましょう。
<いきもの写真館No.161 ホシベニカミキリ>
6月上旬に訪れた中池見湿地の歩道上で見つけた1枚。全身赤くてきれいなカミキリムシで、見た目の通り南方系の種類です。太平洋側では関東以西、日本海側では石川県以西に分布するそうですが最近は街路樹にもよく使われるタブノキにつくカミキリなので市街地でも見ることがあります。鮮やかな色彩のおかげで関東あたりでは人気のカミキリムシで千葉県ではレッドデータブックにも載せられてますが、九州から南ではタブノキを食い荒らす森林害虫とみなされている一面もあります。幼虫はタブノキの他にクスノキ、ヤブニッケイ等のクスノキ科の樹木にもつくそうです。そういえば消毒業界では、これより小さくて斑点がないベニカミキリや縦筋があるベニトラカミキリが竹林や竹材を食害する虫で有名ですね。6月はカベアナタカラダニという真っ赤なダニも大発生しますし、今の時期は赤くて鮮やかな虫に要注意。
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生物技術者連絡会 邑井良守 yoshimori.murai@gmail.com