生物技術者連絡会通信 2026年9月号
<生物技術者のための名所案内~木場潟公園>
9月の里山を歩いても咲く花は少ないし鳥も端境期で少ない。生物技術者にとってはちょっとつまらない時期ですよね。里山の緑がずっと濃くなる9月は林床に光が当たらなくなるので咲く花も少なくなります。この時期、どこか花に出会える環境はないかなと頭をひねって…思いつきました。そうだ、水生植物園に行こう!
金沢市から車で南に1時間弱走ると木場潟公園というところがあります。ここは木場潟という湖の周辺をそっくり公園としたところで、きれいに整備された遊歩道が湖を一周しています。遊歩道の長さは一周して6.4Km。ゆっくり歩いて2時間弱と、全く起伏がない道ですから少し強度の高い歩行トレーニングをするのには絶好ですね。

訪れた9月25日は多くの人、特に老境に入ったカップルの方々が散歩を楽しんでいました。遊歩道の途中には東西南北、および中央の五つの園地があるのですが、そのうちの西園地には水生植物園が設けられています。水生植物というのは地中じゃなく水中に根をはって生育する植物のことで、ここには18種の水生植物が集められています。

水生植物のいいところは花が咲く時期が7~9月の種類が多く、里山に咲く花の時期よりも遅いところ。訪れた時にも5~6種ほど、花を咲かせている種類を見ることができました。いくつかご紹介しましょう。

スイレンの仲間のコウホネです。水面からニョキッと1本長い茎の先に黄色くて丸い花をつけます。根は水中の底まで伸びて泥の中に入ってます。

アサザです。花はスイレンに似てますがミツガシワ科の植物。黄色い花弁の縁が細かく縮れているのが特徴です。環境省レッドデータブックの準絶滅危惧Ⅰ種。

ガガブタです。写真では見にくいですが白く小さな花をいっぱいつけます。ミツガシワ科の植物で環境省レッドデータブックの準絶滅危惧種。

ミズアオイです。鮮やかな青色がきれいですね。昔は田んぼの隅でもいっぱい咲いていたんですが今はほとんど見られなくなりました。環境省レッドデータブックの準絶滅危惧種。
公園内にはボート、釣り桟橋、農業体験ハウスなどいろいろな施設があります。貸自転車で湖を30分程度で一周するも良し。そしてここは冬になるとたくさんのガンカモが渡来して一気ににぎやかになります。冬に来るとガンカモを狙う猛禽類も来てて次のような写真も撮れちゃったりします。

昨年の1月に撮った写真。ミサゴが掴んでいるのはコイかな…。花を撮るなら夏、鳥を撮るなら冬ということで、一度出かけてみてはいかがでしょうか。
木場潟公園の公式HP https://kibagata.com/
<今月のデータ~害虫は防虫網戸を通り抜けられる?>
今は年金生活ですが、以前は害虫の駆除を生業とする衛生管理会社(つまり消毒屋)に勤めていました。本社の研究部門に所属していた関係で、飼育していた虫を使って様々な実験や調査をした記憶があります。前回に引き続き今回は「虫は窓に取り付けた防虫網戸を通り抜けられるか」につき調べた知見をご紹介しましょう。
猛暑日や真夏日になった夜に寝に入る際、窓を開けて涼しい夜風を部屋に入れたいと思ったけど、蚊などの虫が入ってくることを心配して躊躇したことはありませんか? 窓に防虫網戸がついているにもかかわらず、です。そもそも、防虫網戸で虫の侵入を防げるんでしょうか?
網戸の表面に見える網目の大きさを示す単位をメッシュといいます。これは長さが1インチ(約25.4mm)の間に網目が何本あるかを示すもので、市販され一般家庭の窓に取り付けられている防虫網戸は16~24メッシュ、食品工場のように厳密な防虫対策が求められる施設向けの防虫網戸は30~40メッシュ程度となっています。一般家庭向けの防虫網戸は蚊の侵入を阻止することを目的としたもので、体長が4~5mm程度のヒトスジシマカやアカイエカは物理的に網目を通ることができません。しかし、体長がそれ以下の虫は通過が可能です。30~40メッシュの防虫網戸では体長が1mm程度の虫もほぼ9割がた侵入を阻止できますが、やはり体長がそれ以下の虫は通過が可能です。そして日本には名前が付いた虫だけでも約3万種が生息していて、体長が1mm以下の虫もたくさんいるのです。ではメッシュ数をもっと上げた網戸を作ればいい? いやいや、そういうわけにはいきません。メッシュ数を40メッシュ以上に上げると網目が細かくなりすぎて風通しが悪くなってしまい、網戸をつけた意味がなくなってしまいます。
つまり、防虫網戸は蚊の侵入阻止という限定した目的では有用ですが、これを取り付けることにより虫の侵入を完全に阻止できるものではないのです。
ちなみに、防虫網戸は普通のガラス戸のように窓枠が固い物質で支持されているわけではなく、いわば格子のない障子扉のようなものなので老朽化するとたちまちに網戸自体が歪んで大きな隙間が生じてきます。はられているプラスチック製の網自体も紫外線ですぐに劣化しますから、放置すれば取り付けても数年で虫の侵入阻止効果はなくなるものと思った方が良いでしょう。
<いきもの写真館No.189 ミソハギ>

里山の森は夏になるとほぼ深い緑一色となり、森を散歩しても道端に咲く花はすっかり少なくなります。見つかる花はだいたいキツネノカミソリやツリフネソウといった赤い花ですが、この時期としては珍しい青紫色のこの花をたまに見かけることがあります。ミソハギの「ミソ」は禊(みそぎ)のミソに由来するという説があって、この花はお盆に供える花として知られてきました。日本では北海道から九州まで、その他朝鮮半島、中国北部に分布し里山の日当たりのよい湿地や水辺に生育しています。 花期は7~9月、直立した茎の先に赤紫色の花をたくさんつけます。機械が入りにくい 山際沿いの田畑が近年無くなっていっているせいか、田んぼの畔でよく見かけたこの花もすっかり少なくなってしまいましたね。
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生物技術者連絡会 邑井良守 yoshimori.murai@gmail.com











































