2013-01-01から1年間の記事一覧

<動物遺物学の部屋>第25回 獣毛同定の苦労話 獣毛が同定できるまでには、いろいろと準備がいります。その中で、最も重要なひとつは比較対照標本の整備でしょう。 獣毛の種類を判定する決め手は、結局のところ「絵合わせ」です。当然それには合わせる絵、つ…

研究部会通信2013年11月号

<動物遺物学の部屋>第24回 獣毛同定って商売になるの?〜当事者が語る獣毛同定技術の未来〜(2) 他にも何か珍しい毛を持ってるんですか? はいはい持ってますよー。パンダなんかどうです? パンダ!? 日本にすんでないじゃない。パンダの毛なんか同定し…

研究部会通信2013年10月号

<動物遺物学の部屋>第23回 獣毛同定って商売になるの?〜当事者が語る獣毛同定技術の未来〜(1) こんにちは。匿名希望ということですが、仮に何とお呼びすればいいでしょう? そうだなあ、「ミスターK」ということにしといてよ。 じゃあミスターKさん、…

研究部会通信2013年9月号

<動物遺物学の部屋> 第22回 動物遺物学にまつわるこぼれ話(1) ここでは動物遺物学で扱う技術をいろいろとお話していますが、これって警察の犯罪捜査に結構似てますよね。 我々はどんな動物がいたかを確かめるために獣毛を同定しますが、犯罪が行われた…

研究部会通信2013年7月号

研究部会通信2013年7月号<動物遺物学の部屋> 第21回 糞と獣毛の話 野生動物の食性を調べようとする場合、まず考えるのは糞分析ですね。 タヌキやテン等といった中型動物では、糞分析による食性調査がよく行われます。 世の中には野外で見られる糞の形状か…

研究部会通信2013年6月号

<動物遺物学の部屋> 第20回 見た目でも同定できる? 獣毛は標本にしないと同定できないのか、いやいやそうでもないというお話。 哺乳類は鳥や虫のように原色の色彩をまとっておらず、獣毛そのものの色もおおむね褐色系で地味です。 なので、獣毛1本1本を見…

研究部会通信2013年5月号

<動物遺物学の部屋> 第19回 透過法のお話 前にスンプ法に関するエピソードをお話しましたので、今回は「透過法」のお話を。 透過法というのは獣毛を同定するための方法のひとつで、獣毛の内部構造を見る手法です。 獣毛を封入液に入れて、スライド標本にす…

研究部会通信4月号

<動物遺物学の部屋> 第18回 羽毛が手に入りやすい季節になりました 春は鳥たちの繁殖の季節です。 ヒナを育てるにはたくさんの餌が必要になります。 そして、巣立った直後のあまり飛べない幼鳥たちもよく見かけるようになります。 ということは、猛禽や獣…

研究部会通信2013年3月号

<動物遺物学の部屋> 第17回 スンプ法とスンプ標本の話 スンプ法というのは、獣毛を同定するのに必要な標本をつくるための重要な方法です。 獣毛の表面に現れるキューティクル(毛小皮)の模様には、動物の種類によって特徴があります。 スンプ法で標本(ス…

研究部会通信2013年2月号

<動物遺物学の部屋> 第16回 巣箱と獣毛同定の話 獣毛を同定する技術が「商売」として利用できる分野のひとつに、樹上性哺乳類を対象とした巣箱調査で採取した巣材から出る獣毛の同定というものがあります。 ダムや高速道路をつくる際ののアセス調査では、…

研究部会通信2013年1月号

<動物遺物学の部屋> 第15回 獣毛同定とマングース駆除事業のお話 2013年も毎月更新していきますのでよろしくお願いします。今年の第1回は2月2日のFBN総会セミナーで話題提供する、獣毛同定と奄美大島マングース駆除事業についてのお話を少しご紹介します。…