研究部会通信4月号

<動物遺物学の部屋>
第18回 羽毛が手に入りやすい季節になりました
 春は鳥たちの繁殖の季節です。
ヒナを育てるにはたくさんの餌が必要になります。
そして、巣立った直後のあまり飛べない幼鳥たちもよく見かけるようになります。
ということは、猛禽や獣に狩られる鳥たちの数も増えてくるということです。
この時期に野山を歩くと、犠牲になった鳥たちのきれいな羽毛をよく拾うことができます。
例えば、首都圏近郊の雑木林やスギ林を歩いてみましょう。
林の中は藪がひどいので入らない方がいいですが、林の間を縫って通っている小道を見つけたら入ってみます。
小道がなかったら林のまわり、田んぼの畦や畑の際になっているところをぐるりと巡ってみます。
そうやってしばらく歩いていると、こんな感じで羽毛がまとまって落ちている場所に出会うでしょう。↓

写真を撮ったところが陰になっている場所だったのでちょっと見にくいですが、写真中央に落ちているのはドバトの羽毛です。
オオタカが鳥を狩ったあとなんですが、これが道ばたにあるとそれはそれはきれいな円形になって散らばってます。
オオタカは「待ち伏せ型」の狩りをすることで知られています。
森林の際、少し枝がのびた先でじっと待っていて、下を通る鳥や獣を飛び降りながら捕らえます。
捕らえてトドメをさしたら、ゆっくりお食事ができる場所(森の中)に持っていきます。
それであとには羽毛だけが残る、というわけです。 
千葉県流山市で行った食性調査では、オオタカが利用する餌動物の42%がドバトだったという結果が報告されています。
大都市近郊でも最近オオタカが結構見られるようになりましたが、彼らの中には町の公園や街路樹なんかで待ち伏せしているものもいるんでしょうか。
人間が見てもドバトの動きは他の鳥に比べて鈍いですから、いい狩りの対象になるんでしょうね。
狩られた直後の羽毛はとてもきれいな状態ですから、皆さんこの時期にはりきって羽毛を集めましょう。

最後に、今回のお言葉です。
「触角にいくつの関節があるとか、翅にいくつ脈があるとか、胸や胴の部域に何本毛が生えているとか、いくら私に話しても無駄だ。
私には生活の仕方、本能、習性を知るまでは、その虫を本当に知ったとは思えないのだ。」 アンリ ファーブル

<いきもの写真館>
ここでは、私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介しています。
第60回はボケです。

漢字で書くと「木瓜」。
冬に花が咲いて、その花が真っ赤で鮮やか。
中国産の園芸種ですが、地表を這うように生えていささかトゲが長いクサボケ(草木瓜)という仲間もいます。
そちらは林の中でも見かけますね。
花言葉は「指導者、先駆者」だそうです。

<研究部会からのお知らせ>
*特にありません。