研究部会通信2013年9月号

<動物遺物学の部屋>
 
第22回 動物遺物学にまつわるこぼれ話(1)
 ここでは動物遺物学で扱う技術をいろいろとお話していますが、これって警察の犯罪捜査に結構似てますよね。
我々はどんな動物がいたかを確かめるために獣毛を同定しますが、犯罪が行われた現場でも犯人の手掛かりとして毛髪を探して同定します。
こちらは動物の種類を同定し、彼らは特定の個人を同定します。
じゃあ、扱っている技術の基本的なところも同じ?
そのとおり! 実は私が獣毛同定の研究を始めたころ(20年も前ですが)は、警視庁科学捜査研究所で見せていただいた資料や情報を使っていました。
ちなみに、現在は警視庁や千葉県警など都道府県警察の下部組織なのが科学捜査研究所(科捜研)、国家機関である警察庁の下部組織として存在しているのは科学警察研究所科警研)です。
その関係で、科捜研の方からいろいろと面白いこぼれ話をお聞きしています。
その中の一つを紹介しましょう。
捜査現場では現場に残された遺留品(毛髪とか、爪、衣服片など)を探すのにハケを使います。
床面や地上面にずらりと並んで、腹ばいになりながらじりじりと進んでいく、あの光景で使ってます。
そのハケ、御用達の品があるとのことでハケの毛にアンゴラウサギを使った高級品です。
おまけに毛は紫色に着色されてます。
聞くところによると、警視庁では昔からこのハケを使っているとのことで、どういう理由でこのハケになったのかは分からないとのこと。
でも私的には、ウサギの毛は独特なので他の毛との区別がつきやすいし紫色ならもっと区別できる、ということなのかなと思いました。
ハケを持たせてもらいましたが、腕をなでるととっても滑らかで心地よい感覚。
さすがにプロの使う道具は違うな、なんて思ってしまいました。

最後に、今回のお言葉です。
「人は自然を美しいという。然しそれよりも自然は美しい。人は自然を荘厳だという。然しそれよりも自然は荘厳だ。」有島武郎

<いきもの写真館>
 ここでは、私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介しています。
第64回はクマバチで、写真が2枚。


とても大きく、羽音をブンブン響かせて飛んできますので恐怖感は抜群。
しかし、とてもおとなしくて滅多に刺すことはありません。
人を刺す被害よりも、このハチは家の木材に穴をあけることの方が問題です。
写真のように、それはそれは見事な丸い穴を開けます。
なので、このハチの英名はカーペンター・ビー(大工蜂)。

<研究部会からのお知らせ>
 今月のお知らせは特にありません。