生物技術者連絡会通信 2024年9月号
<生物技術者が見た風景〜山野辺の道とヒガンバナ>
毎年、春と秋になると奈良県にある山の辺の道へ歩きに行っています。天理市から桜井市に至る長さ20キロくらいの私のような年寄りでも歩ける遊歩道です。歩いていると大きな古墳や池、古い建物が並ぶ集落、段々畑や果樹園、寺院神社等を縫うようにルートが続き、周りの景観が次々に変わっていくところがとても気に入ってます。ネットで検索すると古代から変わらない風景とか、万葉集のふる里とかで最近では外国人の方々にも人気のようです。生物技術者的には四季折々の自然景観の変化、特に道端に咲く野の花や田園風景に目が行きます。地元の観光案内板を見ると春には農家さんが植える菜の花畑が人気のようですが、私が一番に推したいのはそれじゃなくて秋に咲くヒガンバナですね。ということで9月に道を歩いていくと出会える風景の写真を2枚ほど。
今年撮った写真ですが、ここ数年一部の畑ではヒガンバナを積極的に飢えているようで、畑一面に咲いている風景も見ることができます。後背に見える農家の三角屋根の形は「大和棟」というこの地方独特の形式だそうです。
5年ほど前の10月上旬に道を歩いていると、偶然にヒガンバナが真っ盛りの場所に出会いましたので撮った1枚です。背景のお寺さんの墓地が右手の奥に広がってるんですが、これがまた前方後円墳の前方部をそのまま利用していて、このルートでしか見られない風景となってましたね。
<今月のデータ~35年後に同じ場所で鳥を見る(千葉県市原市)>
2020年の3月号に「かつて調査した場所を30年後にまた調査したら?」という個人的な興味で千葉県の市原市で鳥のセンサス調査を実施した結果を紹介したことがあります。このときは1989年に実施したロードセンサスを2019年の同じ時期に同じやり方、同じ気象条件で実施してます。で、今年の8月が35年目にあたるので継続調査ということでもう1回やってみました。前回の記事では昔の調査当時(1988年)の航空地図と再調査当時(2020年)の航空地図も紹介してますが、国土地理院地図をあたってみてもそれ以降の最新地図がないようで、今回は地図なしの結果表のみで紹介しますね。
結果を見て気づくのは、2019年にはカラ類が増えたなあと思ってたのに2024年はまた1989年に戻っちゃったみたいということと、ガビチョウが2019年に比べて急激に増えたことでしょうか。たった5年間でガビチョウがこんなに増えるなんて…。そういえば、今年の春になって佐倉市にある私の自宅近くでも初めてガビチョウの声が聞こえるようになりました。うちの周りも、5年後はガビチョウだらけになるのかしら…。個人的な興味のみでやってますがこの調査、今後も5年ごとにやってみようと思っています。とりあえず50年後(私は81歳)までを目指してみますか。
<いきもの写真館No.164 イソガニかイワガニ>
9月上旬のある日、海岸を歩いてみました。千葉県の銚子までJRで行き、それから超ローカル線で有名な銚子電鉄に乗って犬吠埼へ向かいました。灯台下の岩礁を歩いていたら磯プールの中にじっとしていたのがこのカニです。私、カニはもちろん甲殻類の知識は全くありませんが、甲羅にあるよこじわが特徴的だったのでスマホで調べてみたら磯場では普通種のイソガニかイワガニのどちらかのようです。この2種は姿がそっくりですが、イソガニが動きがゆっくりで水の外でもよく見かけるのに対してイワガニは常に水中にしてすばしっこいとのこと。イワガニかなとは思いますが、私には同定は難しそうですね。
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