H20.09.22 獣毛書籍:詳細案

<研究部会の活動報告>

*生物同定技術書籍出版プロジェクト報告
先日行なわれた運営委員会で、私(邑井)と藤井さんが第一次の目次案を委員の方々に提示しました。
今回は藤井さんの、つまり羽毛同定の目次案をご紹介します。

コンセプト:
全ての種を識別できるようにとりまとめるのではなく、特徴のある種を識別できるように整理する。
検索図をベースにした絵合わせ。内容は羽根に関しての初心者でも利用できるように心がけて作成する。
イラストと写真を織り交ぜながら、上手く両方の利点を活かして作成する。

目次案:
●はじめに (1P)
 羽根と人間の関わりについてや識別分野の歴史、この項目のコンセプト等を説明??
●羽根についての説明 (2P)
 羽根の種類や構造、名称など。
 可能であれば羽根の魅力についても少し触れたい。 
●本項目の概要・利用方法 (1P)
 部位の識別
 外部形態からの識別
 顕微鏡による微細構造からの識別
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Ⅰ.部位の識別  【 約5P 】
 部位識別の重要性を説明。検索図を基本ベースに進めるサンプル写真も掲載。
●風切羽や尾羽、体羽など、大まかな部位の検索 (2P)
●体羽の位置を特定するための検索 (1P)
●雨覆、小翼羽等の翼に付属する羽根の分類検索 (1P)
Ⅱ.外部形態からの識別  【 約60P 】
 色・模様の特徴を重視してとりまとめる。
●身近な種について
 検索にかける前に、まず疑ってみるべき種をとりまとめる。
ヒヨドリ (1P)
ムクドリ (1P)
・スズメ  (1P)
・ハト類  (2P)
・キジ類  (3P)
・カラス類(ハシブトガラスハシボソガラス)  (2P)
・白い羽根(サギ類・ドバト・養鶏の比較) (1P)
●識別に利用できる羽根の特徴
・後羽 (2P)
 後羽の説明だけでなく、いろいろなグループの後羽を写真でも提示。
・細毛 (1P)
・光沢弁 (1P)
●形に特徴のある種
 シルエットによる絵合わせ (1P)
●特徴のある羽根の識別
 検索図を基本ベースに進める。
・風切羽  (13P)
 ア) 斑または帯が1〜2箇所あるもの
 イ) 斑または帯が3箇所以上あるもの
 ウ) アとイ以外で羽弁に白色等の色模様が入る種
 エ) 模様に特徴がある種
  鷹斑や複雑な模様など
 オ) 色に特徴がある種
・尾羽  (7P)
 ア) 斑または帯が1〜2箇所あるもの
 イ) 斑または帯が3箇所以上あるもの
 ウ) アとイ以外で羽弁に白色等の色模様が入る種
 エ) 模様に特徴がある種
  鷹斑や複雑な模様など
 オ) 色に特徴がある種
●カラープレート (20P)
 検索図の結果が確認できる程度のカラープレート。イラストを主体。
Ⅲ.顕微鏡による微細構造からの識別 【 約40P 】
●分析方法の説明 (2P)
 内容や作業内容など
●検索図 (2P)
 目の識別を主とした検索。可能であれば科まで踏み込んで作成。
●各グループの識別点
 検索図の検索結果をうけて各グループの特徴を確認。
グループによってはさらに詳細な検索に踏み込んでいく。
・アビ目 (1P)
カイツブリ目 (1P)
・ミズナギドリ目 (1P)
ペリカン目 (2P)
 ペリカン類、ウ類を分類
コウノトリ目 (1P)
 サギ類、トキ類を分類
・カモ目 (2P)
 ハクチョウ類、ガン類、カモ類を分類
・タカ目 (2P)
 タカ類、ハヤブサ類を分類 
・キジ目 (2P)
・ツル目 (2P)
・チドリ目 (2P)
 シギ類・カモメ類・ウミスズメ類等を分類
・ハト目 (1P)
カッコウ目 (1P)
・フクロウ目 (1P)
・ヨタカ目 (1P)
アマツバメ目 (1P)
ブッポウソウ目 (2P)
 カワセミ類か否かを分類
・キツツキ目 (1P)
・スズメ目 (8P)
 できるだけ科の分類に努める。カラス類のように種の分類が可能なものは種まで踏み込む。

皆様のご意見も聞きながら、今後第二次、第三次と目次案を煮詰めていきたく思います。
書籍構成の考え方も含め、ご意見をいただければ幸いです。

<生き物豆知識〜アズキゾウムシ>

 アズキゾウムシはマメゾウムシ科に属する小甲虫です。
成虫の体長は2〜3ミリ、赤褐色で鞘翅(さやばね)には黄白色の不規則な班があります。
オスの触角は太くて切れ込みの深い鋸歯状を呈し、根棒状の触角を持つメスとはっきり区別できます。
 貯蔵アズキを食害する大害虫で、原産地は中国南部といわれ、日本には千年以上前、中国からアズキとともに渡来したようです。
成虫の寿命は10〜20日間で、メスは生存期間中に50〜60個の卵を一個ずつ、アズキの表面に産みつけます。
その時「産卵規制物質」を分泌してアズキに付着させます。
この物質は脂肪酸のトリグリセライドを主成分とする「密度調整フェロモン」であり、過剰産卵を避けて共倒れを防ぐ役目を果たします。
 ふ化した幼虫はアズキ粒の中に食入して内部を食べて育ち、蛹室を作って蛹になります。
羽化した成虫は、アズキの表皮に円孔をあけて脱出します。
25度の温度では卵期5日、幼虫期20日、蛹期7日、卵から羽化までの生育日数が32日です。
アズキの他、ササゲでも生育しますが、インゲンでは育ちません。
 アズキゾウムシは実験用の昆虫として役立つ一面をもっています。
それは、生育期間が短くて増殖しやすく、年中繁殖可能だからです。研究室で各種の実験に供試されています。


<ワンポイント環境問題〜戦略的環境アセス
 戦略的環境アセス(SEA)とは、事業計画の段階でアセスを行うもので、現行のアセス制度が事業計画の実施を前提として、環境に及ぽす影響について事前評価をする
のに対し、事業計画の段階でアセスを行うものです。
したがって、アセスの結果次第では事業を行わないという選択もあり得るとされ、上位計画や政策における環境配慮を徹底するための手続きといわれています。
 この言葉が使われ始めたのは1990年代になってからですが、環境政策の先進諸国では、持続可能な社会を構築していくといった観点から、戦略アセスの試みが活発に行
われています。
たとえばアメリカでは、個別の開発事業だけでなく、政府の立法提案や政策決定等を含めた連邦政府機関の行為全般を環境アセスの対象としています。
また、オランダやカナダでは、個別の開発事業と政府等による政策等の立案とを区別し、後者については戦略的環境アセスの概念のもとで行おうとしています。
 わが国では、平成9年6月に環境アセス法がようやく成立しました。
しかし現状は、環境アセスの対象が個別の開発事業にのみ限定されており、個々の開発事業の枠組みを与えることとなる広域計画、地域総合開発計画などの上位計画や政策の立案などは適用の対象外となっています。
 戦略的環境アセスは、このような環境アセス法の限界をカバーするものとして、今日ますます期待が高まっています。


*<生き物豆知識>と<ワンポイント環境問題>の掲載情報は、イカリ消毒株式会社
環境保健情報室の協力によりイカリ消毒(株)発行の月刊「クリンネス」から提供さ
れております。
この雑誌についての詳細は下記URLにどうぞ。
http://www.ikari.co.jp/ 月刊「クリンネス」編集担当:大谷

<研究部会からのお知らせ>
*エコシス(環境調査会社です)の初芝さんから下記のお知らせがきました。(以下、転送文)
皆様 エコシスの初芝伸吾です。
ご存じの方も、いらっしゃると思いますが、素晴らしいクモCD図鑑がバージョンアップされました。
都道府県別の分布記録や文献記録がまとまっていますし、クモ類の画像も美しいです。
下記、著者の1人の谷川明男さんから紹介文です。
購入希望等は谷川さんにお聞き下さい。
Ver.2006を購入した方はVer.2008は2000円程で購入できます。是非!
県別クモ類分布図CDをVer.2006からVer.2008へバージョンアップいたしました.
バージョンアップの内容は次のとおりです.
文献は152本追加して1264本となり,分布データは7938件追加で56044件,分布図収録種数は108種増の1490種,写真の収録種数は59種増で797種となりました.
価格は前バージョンと同じく送料込みで1枚8140円ですが,Ver.2006をご購入くださった方は送料込みで1枚2140円とさせていただきます.
ご購入くださるかたはメールで送付先をご連絡ください.
CDの概要は次のページで紹介させていただいております.
また,サンプルページもご覧いただけます.
http://www.asahi-net.or.jp/~dp7a-tnkw/cd/cd.htm
連絡先:谷川明男 dp7a-tnkw@j.asahi-net.or.jp
以上です。よろしくお願いします。

 このメーリングリスト通信に関するご意見、お問い合わせ等は下記までお願いします。
 研究部会長  邑井良守イカリ消毒株式会社) murai@ikari.co.jp