H20.10.27 ノキシノブ

<研究部会の活動報告>
*特に報告する事項はありません。


<生き物豆知識〜カツオブシムシ〜ノキシノブ>
 カツオブシムシ科に属する甲虫は世界から約1000種、日本からは40種記録されています。
もともとは野外に棲み、鳥の巣内で羽毛などを食べていたものの一部が人家に入り込んで、動物性の乾燥食品(かつお節、煮干しなど)や動物性繊維(毛織物、絹織物)を食害する害虫になりました。
しかし、ヒメアカカツオプシムシは植物質だけを餌にする変わり者です。
 ハラジロカツオプシムシは成虫の体長約10ミリ、背面は黒色、腹面は白色の毛で覆われ、白く見えるのが和名のいわれです。
幼虫は細長い紡錘形で黒褐色、毛が密生しています。
一年に三世代を経過し、幼虫、成虫とも動物性乾燥食品のほか、カイコの繭も食害します。
 トビカツオプシムシの成虫は体長約9ミリ、黒褐色で褐色の短毛が密生しています。
和名のトビは鳶色の意味です。
食性や生活史はハラジロカツオプシムシに似ていますが、成虫の寿命は長くて一年にも及ぶ長寿命です。
 ヒメマルカツオプシムシとヒメカツオブシムシは食品よりも毛織物や絹織物に大害
を与える衣頬害虫です。
加害するのは幼虫期で、年一回発生します。
また、ヒメマルカツオプシムシは昆虫標本の害虫であり、近緑種のシモフリマルカツオプシムシは、欧米でミュージアム・ビートル(博物館の甲虫)と呼ばれているほど
標本類を食害します。 古くは忍草と呼ばれたノキシノブは、民家の軒によく生えることからつけられた名前で、「軒シノブ」の意味だといわれています。
夏の風鈴に添えられているシノブとは別の種類で、湿り気の多い岩壁や木の幹に着生する常緑性のシダ植物です。
着生といっても、他の植物に寄生しているわけではなく、表面に根茎を張って生育し、長さ15センチくらいの細長いへら状の葉を数枚、垂れ下がるようにつけます。
 シダにはいわゆる花は咲きませんから、種子はつけませんが、胞子をつけます。
胞子は細かい粉状で、多くのシダでは葉の裏に胞子の入った袋が集まってできた「胞子嚢群」をつけます。
ノキシノブの場合は、直径5ミリほどの丸い形をした胞子嚢群を数個、葉の裏の軸に沿って二列につけ、未熟なうちは青緑色なので虫の卵のように見えますが、胞子が熟してくると濃い褐色になります。
シダでは夏に胞子が成熟するものが多いのですが、ノキシノブは晩秋から冬にかけて胞子が熟します。
 ノキシノブは非常に分布が広く、北海道では渡島半島の南端にしかありませんが、青森県以南の日本全国で見られます。主に山地から低山地の樹杯内に普通に生えるほか、低地でも石垣を始め土のたまった雨どい、神社やお寺の古木の幹、公の植栽木の幹、コケの生えたブロック塀など人
里や市街地周辺にも生え、常緑性なので冬には緑が目立ちます。
名前は知らなくても見かけたことのある方も多いのではないでしょうか。


<ワンポイント環境問題〜エコフィッシング>
 昨今では、趣味としての釣りがブームとなっています。
その反面、日本全国の河川や海岸、湖などのいたるところで釣り針や釣り糸などが放置されている現状があります。
このように、愛好家が増えるにつれ、釣り糸で水鳥がけがをしたり、捨てたエサで川や海の水質が悪化したりする自然への影響が指摘されるなど、そのブームの陰で多くの自然環境が破壊されていることも事実です。
財団法人自由時間デザイン協会がまとめた『レジャー白書』によると、年間に一回以上釣りをした15歳以上の人口はここ数年、約1700〜2000万人にものぼっています。
 そこで現在、自然環境に負荷の少ない道具を使用して釣りを楽しむ「エコフィッシング」の動きが広がってきています。
従来から釣り糸の回収やごみの持ち帰りは釣り人として当然のマナーですが、エコフィッシングとは、仮に水中に落ちた場合でも、釣り糸なら一ケ月、ワームなら約一年で分解される生分解性の特殊な繊維でできた釣り道具を使用したり、水中で溶け出さない鉛のおもりなどを使用することで、環境への影響を最小限に抑えていこうという試みです。
 生分解性のワームは、従来の塩化ビニール製に比べ値段が高くなることや、釣り糸の場合では従来のナイロン製に比べて縮れやすいなどの課題はありますが、釣り人がマナーを守り、環境負荷の少ない道具を使用することで、環境保全を因っていくことが求められています。

*<生き物豆知識>と<ワンポイント環境問題>の掲載情報は、イカリ消毒株式会社
環境保健情報室の協力によりイカリ消毒(株)発行の月刊「クリンネス」から提供されております。
この雑誌についての詳細は下記URLにどうぞ。
http://www.ikari.co.jp/ 月刊「クリンネス」編集担当:大谷

<研究部会からのお知らせ>
*既にお知らせした「生物技術者連絡会特別セミナー in TCA」の追加お知らせです。

この生物技術者連絡会特別セミナー in TCAではFBN会員のみ参加可となっておりますが、FBN会員の紹介であれば会員外でもOKです。
お近くに興味を持ちそうな方がいるようでしたら、是非お声をおかけください。  
 

 このメーリングリスト通信に関するご意見、お問い合わせ等は下記までお願いします。
 研究部会長  邑井良守イカリ消毒株式会社) murai@ikari.co.jp