研究部会通信6月号

<動物遺物学の部屋>
第9回 獣毛を同定する手法(7)
 イヌやネコのように家畜化して様々な品種・雑種ができてしまった動物は別ですが、野生動物なら獣毛の表面や内部の構造が種としてほぼ固定化されているようで、それぞれに特徴がみられます。それは肉眼で観察できる特徴にもあらわれることがあります。
 見た目で一番わかりやすい特徴といえば「色」でしょう。しかし、種類を区別する人間にとって、実は色はあまりあてになりません。同じシカでも、腹は白いですし尾の方は黒くなっています。また、個体によっては黒っぽい個体もいれば白っぽい個体もいます。色は同定の指標にはあまりならないのです。一方、「模様」の方は少しあてになります。
写真はマングースの剛毛を撮ったものですが、毛の途中に白く色が抜けた部分(スポット)がありますね。マングースの剛毛の場合、ほとんどの個体で毛根の端を除いた毛の途中に2ヶ所、スポットがあらわれます。リスだったら、その数がもっと増えます。
 同定に役立つ特徴はこの模様だけではありません。毛の太さが毛先から根元まで一様か、毛を曲げると折れてしまうかどうか、曲がり具合はどうか、等といったことも種同定の指標になり得るのです。もっとも、このような特徴が種同定に利用できるようになるには多少の経験が必要ですが。
 獣毛の同定に関する話はこれで一応終わりとします。次回からは動物遺物学的な調査研究の手法って、どういうものがあるのかについて少し考えていきます。
最後のお言葉です。
「君は見てはいるさ。だが観察してはいないんだ」 シャーロック・ホームズ

<いきもの写真館>
 ここでは、私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介しています。
第51回はハマナスです。
佐倉市は内陸なので家の近くでは見ることが出来ませんが、内房の砂浜で5月にこの花を見ることが出来ます。
植えたやつですけど。
花が美しく大事にされてますから、東日本から北日本の地方の砂浜では割と良くこの花を見ます。
北方に咲く花なんですが、何となく南洋的ですね。

<研究部会からのお知らせ>
*お知らせする事項は特にありません。