研究部会通信5月号

<動物遺物学の部屋>
第8回 獣毛を同定する手法(6)
 獣毛の髄質構造についてもう少し見てみましょう。まずは人間から。

まあ、鉛筆の芯みたいですよね。
これがイヌになると・・・

ちょっと太くなった感じですね。
じゃあ、ネコだと・・・

おやおや、ずいぶんと太いうえに何だか模様が見えてきました。
という感じで構造が複雑になってきて・・・最後はこれ、アカネズミです。

もう、何だか獣毛の全体が髄質になってしまって、網目模様にもなって・・・
でも、驚いちゃあいけません。本当の最後にこれを、ノウサギはいかがでしょう。

あれあれ、網目模様が規則正しい縄目模様になっちゃってます。
どうでしょう。スンプ像に比べると、髄質構造は種類によって違いが大きく変わっていくのが分かるでしょうか。でも、この違いは獣毛の剛毛(一番太い毛)の一番太い部分でのみ明瞭に見られます。細い毛だったり、剛毛でも細い部分を見たりしますとこんな模様は見られませんのでご注意を。
ところで、標本を作らないと獣毛の同定は絶対出来ないのかというと、そうでもありません。獣毛を見慣れてくると、結構じかに観察しただけでも種類が分かったりもします。その話はまた次回に。
最後のお言葉です。
「人間にとって、野生動物とは、遥かな彼岸に生きるもの。その間には、果てしない闇が広がっている。」 星野道夫

<いきもの写真館>
 ここでは、特に私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介しています。
第50回はマムシグサです。

前に同じ仲間のウラシマソウを紹介しましたが、こちらには「長い釣り糸」はありません。
仏炎苞(花のようなもの)から出ている、ながーいヒモのようなやつのことですよ。
佐倉ではウラシマソウがまず先に咲いて、それからマムシグサが咲いてくるようですね。
しかし、同じ仲間なのにウラシマとマムシでは差がありすぎ・・・。

<研究部会からのお知らせ>
*お知らせする事項は特にありません。