研究部会通信2015年4月号

<動物遺物学の部屋>

第40回 フィールドで動物遺物を見つけよう(4)〜踏んではいけません
 
 4月は多くの動物たちが繁殖する季節ですので、前回に引き続いてそれに関するネタを。
動物たちにとってはとても大事なものなので、遺物なんて呼ぶと怒るかもしれませんが。
こちらは、とある大きな川の中州を見た写真です。

中州ですから人が行くには川を渡らなくてはなりません。
砂利しかない場所ですし行くのも大変ですが、そこを強いて渡り、砂利の中を歩いていると・・・

真ん中に見えるのは砂利じゃないですね。
タマゴが落ちてる・・・といいたいところですが、これがちゃんとした巣なんです。
これはコアジサシの巣です。
コアジサシは集団で営巣しますので、こいつを見つけたら空を見上げてください。
いっぱい飛んでますから。
コアジサシが営巣するには人や天敵が来ない、広大な砂利地が必要です。
そのような場所は本当に少なくなりましたから、コアジサシの営巣もめったに見られなくなりました。
これを見つけたら踏んではいけません。
拾ってもいけませんよ。
後ずさりして、その場を離れてあげましょう。
チドリ類もこんな巣を作ります。
しかし、見事なまでに砂利の中に溶け込んでますね。

今日のお言葉です。
「動植物の施す教育は、全く天才教育、自由教育である。
殊に日本人は真似に堪能だから、欧米の学者の真似を止して、動植物の眞似をしたらたしかに大したものができることは請合である。」 神田左京 

<いきもの写真館>
 ここでは、私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介しています。
第80回はオオタカの幼鳥です。

遠くから木の間越しに撮ったんですが、何枚も撮った中で写っていたのはたったの数枚でした。
写っていたものを見つけたときのうれしさといったら・・・

<研究部会からのお知らせ>
 特にありません。