研究部会通信7月号

<動物遺物学の部屋>

第42回 フィールドで動物遺物を見つけよう(6)〜誰のおうち?
 
 野山を生き物を探しながら歩いていて、とっても気になるものの一つに「穴」がありますね。
森の斜面や土の露出した崖などで、自然に開いたとは思えない穴を見つけると、これは誰が開けたんだろうと思ってしまいます。
歩きながらよくよくみると、そんな穴は結構あります。
大きいのやら小さいのやら、地面にまっすぐ開いているのやら斜めに開いているのやら、木の幹にも開いていたりします。
思わずのぞき込んでみたくなりますが、すると何かが飛び出てきそうでちょっと怖い・・・
というわけで、動物遺物としての「穴」について、何回かに分けてお勉強しましょう。
実際に探していると動物たちが開けたのかそうでないのか、かなり微妙なものもありますが、まずは分かりやすい写真を2枚。


どちらも豪快に穴が開いてますね。
これだけ派手な穴は・・・やはりケモノですよね。
上の写真はホンドギツネ、下はタヌキの巣穴です。
どちらも、現在「ご在宅」のおうちです。
「ご在宅」か「空き家」かは、穴の入口を見れば分かります。
在宅中なら、毎日出入りしていますので足跡がたくさんついています。
入口近くの木の枝には獣毛が引っかかっていたりします。
そうすると、本当にいるのか知りたくなりませんか?
最近は自動撮影カメラという便利なものがありますから、一つ仕掛けてみましょう。
・・・ということで、ご帰宅の決定的瞬間をとらえたのがこれ↓

次回は、小動物が開ける穴についてお話しします。
ネズミの穴とモグラの穴はどう違うんでしょう?
そんな感じの話を。

今日のお言葉です。
「海洋に於ける大きな自然の美は陸上のつまらない小さな芸術の論争などを顧みさせる余裕を許さない。」永井荷風

<いきもの写真館>
 ここでは、私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介しています。
第82回はホタルブクロです。

山際の湿潤な環境で夏に咲きます。
川から出てきたホタルが下向きに咲くこの花の中に入って、夜になるとまるで提灯のようにボーッと明るくなるのでホタルブクロ・・・って、すごく風流じゃないですか。

<研究部会からのお知らせ>
 今年の研究部会報、もう少し待ってね。