研究部会通信2015年9月号

<動物遺物学の部屋>

第43回 フィールドで動物遺物を見つけよう(8)〜地面以外に動物が開けた穴を探そう
 
 前回からの続きです。
地面以外の場所で動物たちが使ってる穴を探そう!
ということで、まずは歩きながら木や木造物なんかに注意して見ていきましょうか。

これは見事ですね。
もちろん、キツツキの巣穴です。
その年繁殖した穴を冬に見たものです。
キツツキといえば、こんなところにも穴を・・・

森の中にある神社の壁に穴を開けてます。
これはアオゲラの穴でした・・・というのは、このあと彼が頭を出したので。
次はこちら↓

ちょっと暗くて分かりにくいですが、幹の真ん中に樹洞があります。
フクロウは自分で穴を開ける能力がありません。
で、このような自然の穴を巣穴として利用します。
でも、聞いたところによるとかなり鷹揚な鳥らしく、別に穴がなくても木の上で、場合によっては木の下で繁殖しちゃうらしいです。
今回の最後はこれ↓

きれいにまん丸に開いた穴に入ろうとしているのはクマバチです。
小さな虫なのに、どうやってこんなに丸い穴を開けられるんでしょう。
最近よくある、木造の休憩舎で見たシーンです。
結構、建てて間もないような新しい休憩舎だったんですけどね。

皆さん、歩きながらも注意していると、実にいろいろな穴が見つかるんですよ。
探してみたらいかがでしょう。

今日のお言葉です。
「環境があって、そこに人間が存在する」三好学

<いきもの写真館>
 ここでは、私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介しています。
第84回はコミスジです。

夏もすぎると、道ばたにクズの葉がはびこってくるのがやけに目立ちます。
そのクズが大好きっていうチョウですから、そりゃあそこら中にいますよね。
とはいえ、じっと見るとけっこうきれいじゃないか・・・なんて思っちゃいます。

<研究部会からのお知らせ>
 今年の研究部会報(第3号)、やっと発行できる見込みになりました。
来月には印刷に回せそうです。
内容はこんな感じです。

−論文−
マングースの全身各部位の体毛の形態的特徴による種同定
中園和憲・三谷奈保 1
−技術報告−
社寺林に生息するフクロウ Strix uralensis の採取ペリットによる食性分析
邑井良守 7
ふるさとの庭づくりに関する考察(高木邸を事例に)
高木史人・小田信治・中村俊信・松本竹吾・田中利彦・野村政安 9
−雑 記−
大陸で観察した日本にも分布する両生・爬虫類の共通種
植田健仁 19
−技術者グッズ−
持ち運びできる生物顕微鏡「CERESTRON CE44340」
邑井良守 23
投稿のきまり 25
表紙 マングース 撮影 中園和憲