研究部会通信2015年10月号

<動物遺物学の部屋>

第44回 フィールドで動物遺物を見つけよう(9)〜獣道を見つける
 野山に残された野生動物たちの生活の証のことは、よくフィールドサインとかアニマルトラックとか呼ばれます。
動物の糞や獣毛、羽毛、骨などもその範疇とされてますが、でもこれらは落とし物であってサイン(印)でもトラック(足跡)でもないですね。
痕跡ともいえないし・・・ということで、ここでは一括して「動物遺物」という言葉で呼ぼうと提唱(?)しています。
さて、野山に動物たちを探しに行くとして、その生活の証である「動物遺物」で最も確実に見ることができるものは何でしょうか?
それは糞でも足跡でもなく、獣道です。
基本的に、野生哺乳類は安全だと思ったルートを繰り返し歩きますので、彼らの道である獣道ができます。
糞はそこら中に見られるものではなく、濡れた滑らかな土面でないと足跡はつきません。
しかし獣道なら、棲んでいれば生活する範囲の中に必ずできるものですし、調査時にどのようなコンディションであっても見つかります。
でも、獣道って簡単に見つけることができるの?
じゃあ、ひとつ見てみましょうか。
まずは分かりやすそうなものから。

これは、草原の中にあったドブネズミの獣道です。
真ん中の上下にのびているやつですね。
次はこれ。

タヌキかハクビシンの獣道です。
これだけ明瞭だと分かりやすいですね。
じゃあ、これはどうでしょう。

これも分かりますね。
イノシシの獣道です。

分かってきたところで、次は難しそうなやつ・・・というのは次回に。

今日のお言葉です。
「動植物は『最高学府』と名のつく大学はもたない。
それで留学を得意とする日本人でも、動植物の大学に留学するという訳にはいかない。
しかし欧米の大学に留学して欧米の学者に教を仰ぐのを止してしまつて、もつと手近な動植物を師として学んだ方が、はるかに独創識を收めることができると私は思う。」神田左京

<いきもの写真館>
 ここでは、私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介しています。
第85回はアオサギです。

谷津干潟で撮影しました。
日差しいっぱいで暖かな陽気だったからか、羽を広げて日なたぼっこ
なんとなく、だらしないというかくつろぎすぎというか。

<研究部会からのお知らせ>
 今年の研究部会報(第3号)ができましたので、11月に生物技術者連絡会の会員に送付します。
希望があれば会員以外の方にもお分けしますので、生物技術者連絡会事務局までご連絡ください。