研究部会通信2015年11月号

<動物遺物学の部屋>

第44回 フィールドで動物遺物を見つけよう(10)〜獣道を見つける その2
 前回からの続きです。 
難しそうなやつということで、これはどうでしょう。

写真の真ん中、少し土が露出しているところがあるのがわかりますか?
これは林縁部を通る道ばたでみたタヌキの獣道です。
道ばたのヤブの中から道へ降りているようで、田舎のゴミ集積場の裏でよくこんな光景を見ます。
餌を漁りに来ているわけですね。
つぎはどうでしょう?

よーく見ると、写真の真ん中に奥に向かって一直線に伸びる、何だかへこんだような線がみえませんか。
冬の森の中で見た、シカの道です。
冬は木の葉が落ちて見通しがよくなりますが、積もった落葉のせいでかえって獣道は分かりにくくなります。
他の季節だったら、きっとはっきり分かるでしょうね。

ところで、このような獣道を見ただけで通っている種類が瞬時に分かればいいのですが、そんなわけにはいきません。
種類を特定するには、やはり足跡とか糞とか、別の証拠を見つけなくてはなりません。
最初のタヌキ道のように、ヤブの中に通っている獣道だったらヤブの枝や葉に引っかかった彼らの獣毛を見つけることができます。
こんな感じです↓

これを同定すれば通っている動物の種類を特定することができます。
探すと結構見つかるもので、糞や足跡よりも見つけやすかったりします。
偶然引っかかったやつを探すより、わざと獣道に獣毛がとれるものを仕掛けたら確実じゃん・・・
ということでそのようなもの、ヘアートラップを仕掛けるという方法もあります。

今日のお言葉です。
「天下の小鳥をことごとく巣箱に保護して見たら、かえって生活闘争は激烈になって来るのではないか。
平和とは単に山林に生き残った者の間だけの、差引勘定の名ではなかったか。」柳田国男

<いきもの写真館>
 ここでは、私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介しています。
第86回はルリビタキです。

冬になると高い山から平地に鳥たちが降りてきます。
雑木林でも、わりと珍しい鳥に出会えるようになりますね。
これはヤブの中からヒョイと飛び出てきて、足下にやってきたところを撮ったものです。
しっぽの青い部分がちょっと見えないのが残念。

<研究部会からのお知らせ>
 そろそろ、来年の総会セミナーご紹介の季節がやってきました。
2016年1月30日に自然環境研究センターで開催する予定です。
内容は近日中にお知らせしますが、外来生物が悪者なのはなぜ?というのがテーマです。
ご興味あれば是非。