生物技術者連絡会通信 2024年12月号
<生物技術者が見た風景〜東京湾の干潟二つで水鳥を見る>
12月に入るととたんに寒くなって普段住んでいる金沢市は連日雨かみぞれの憂鬱な季節になってしまいました。ここではこの状況が少なくとも来年2月まで続くので、外に出てバードウォッチングするには全く不向きです。なので、金沢とは全く真逆の連日晴れの日が続く佐倉市に移動し、周辺の海辺にやってくる冬の水鳥を狙うことにしました。それで、12月13日に習志野市の谷津干潟公園と江戸川区の葛西臨海公園に行ってきたのですが、連日快晴が続いていたのにこの日だけ一日中曇り…。運が悪いなあと思いましたが、どちらも人通りが少なかったので水鳥にひそかに接近でき、良い写真がいくつか撮れました。ここで4枚ほどご紹介しますね。まずは谷津干潟公園で撮った2枚です。
谷津干潟は東京湾で越冬するシギチドリの採餌場になってますので、干潮時の干潟が現れる時間帯に行けば採餌する彼らを見ることができます。13日の午後、干潮から数時間過ぎた頃に行ってみたら…たくさんいましたよ。
写っている鳥をよく見たら、大きさが異なる2種類いることがわかるでしょうか。手前にたくさんいる鳥たちと奥にいる3羽は別種で手前の鳥たちはハマシギ、奥の3羽はダイゼンです。
腹が白く体の大きさの割には嘴が長いのが目立つハマシギはおそらく冬の東京湾沿岸では最も個体数が多いシギ類の一つで、常に群れを作って沿岸のあちこちに現れます。私は晴海ふ頭の近くでも見たことがありますね。
ダイゼンはシギの仲間ではなくチドリの仲間になります。ハマシギと違って嘴が短いのが分かりますね。これによく似たムナグロという鳥もいますが干潟で見るのはほぼ間違いなくダイゼンです。変わった鳥の名前ですが漢字で書くと「大膳」。昔は公家の食卓にのっていた鳥だからだそうな。
谷津干潟公園から葛西臨海公園に移動して海岸に造成された人工干潟に行ってみました。着いたのは干潮から相当時間がたった頃なので干潟は見えず。シギチドリたちを見ることはできませんでしたが、面白い動きをする水鳥の群を見ることができました。
公園の池でよく見るカイツブリに似てますが、こちらは冬に海岸へ群で渡来するハジロカイツブリです。群れの先頭にいる1羽が潜ると追随する他の個体も一斉に潜り、たちまちのうちに海面から群が消えます。しばらくすると離れた海面に先頭個体が現れ、群たちも一斉に出現。これを繰り返すわけですが、この動きが面白い。寒いのについつい30分ほど見入ってしまいました。この公園では他に、冬になるとカモに混じってあちこちで見る機会が増えたカンムリカイツブリも観察できました。
時期的にはシギチドリの渡りの時期を過ぎてましたので何も会えないかなと思っていたんですが、いや結構いるもんですね。
<いきもの写真館No.168 メジロ>
谷津干潟公園の歩道を歩いていたら道路際の樹木の上でメジロがさかんに動き回っていました。街でも普通に見られる割には動きが速いので撮る気にはなかなかならない鳥ですが、この時はすぐ目の前にまで来た個体にさっつとレンズを向けてみたらきれいに撮れました。冬はシジュウカラやエナガ達に混じって混群を形成し緑地の中をぐるぐる周回しており、近所の公園を30分も散歩していれば高確率で出会える鳥です。最近の都市部ではこの鳥の数がやたらに増えてきたような印象がありますね。羽色が鮮やかな黄緑色で目の周りに白いリングがある、結構きれいな鳥です。
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