研究部会通信12月号

<動物遺物学の部屋> 
第14回 来年初頭のイベントご紹介
 2012年ももう終わりです。今年も動物遺物学に関する活動をいくつか行って、なかなか有意義な1年でした。年末は今年を振り返ってのお話をするのが普通なんでしょうが、私は後ろを振り返るのがあまり好きではない性分なので、来年の初頭に予定している幾つかのイベントについてご紹介しましょう。
 一つめは羽毛からの種同定に関するセミナーです。獣毛から種類が同定できるなら、羽毛からも当然種類が同定できるはず、ということでその同定技術について財団法人日本鳥類保護連盟 研究主幹の藤井さんがお話するイベントが1月11日に予定されています。当人はそう思っていないかもしれませんが、藤井さんは羽毛から種類を同定する技術に関する第一人者です。このイベントは東京都江戸川区にある東京コミュニケーションアート専門学校(略称TCA)の学生さん向けに行うものですが、一般の方の聴講も歓迎しますとのこと。ちなみに、東京コミュニケーションアート専門学校には野生動物調査員の養成を目的とした講座があります。私が知る限り、このような講座が設けられている専門学校は全国に現在二つしかないようです。セミナーの詳細については本ブログの前月号をご覧ください。

 二つめは獣毛同定技術を応用したヘアートラップによる生息調査の話題発表についてです。生物技術者連絡会(略称FBN)では、毎年の初頭に総会セミナーというイベントを開催しています。今年は生物にかかわる仕事に携わっている方々が話題を持ち寄ってお互いに発表し、仕事のスキルアップやコラボレーションに役立てていただこうという趣旨で2月2日に開催されます。その中で、私が奄美大島マングース駆除事業にかかわった話題を提供することになっています。詳細はこちらに。
http://www.tmlphp.appspot.com/file/page/jfbn/FBN_2013soukai-seminar.pdf
 最後は今年発行される「生物技術者連絡会研究部会報(仮称)」に獣毛同定技術に関する記事が収録されるという話。これは生物技術者連絡会の方で来年の発刊を目指している雑誌で、その詳細についてはお知らせのコーナーをご覧ください。この雑誌の中に「獣毛による同属異種の類別の可能性について」という題で投稿しています。2月2日のセミナーでの紹介と配布を予定していますので、来ていただければこの雑誌がただでもらえるかもしれません。

ということで来年もよろしくお願いします。今年最後のお言葉はこれです。
「科学の大殿堂は、少数の建築家と多くの労働者によって建てられたものである。」
ギルバート・ルイス&マール・ランダル

<いきもの写真館>
ここでは、私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介しています。第56回はカラスウリです。

 モノトーンの世界になる冬の森でこんなに赤い実がぶらがっていたら、そりゃあ目立ちますよね。うちに持って帰って飾りにしている人も多いとか。

<研究部会からのお知らせ>
・「生物技術者連絡会研究部会報(仮称)」発刊のお知らせ
生物技術者連絡会 研究部会では、雑誌形式の技術研究報の発行準備を進めております。 この雑誌は生物技術者連絡会の活動を活性化するため、そして本来の目的である会員の情報共有や技術向上を具体化させるためのものです。発行頻度は当面年1回、掲載する内容は生物または生物技術に関する話題で、以下のような話題に重点をおきます。
*野生生物の生息情報:貴重種の生息情報より普通種の生息動向に関する情報を重視。
*生物技術に関する事例報告:成功例だけでなく失敗例についての報告も掲載。
*生物に関する書籍紹介:特に生物調査に使えるかどうかを観点とした書評。
 今のところ、2013年2月2日に開催する生物技術者連絡会の第19回総会および第47回セミナーの場での発刊発表と参加者への配布を予定しております。