生物技術者連絡会メーリングリスト通信 2021年1月号

生物技術者連絡会メーリングリスト通信 2021年1月号

 

<今月のデータ 〜 30年後どうなった?その4:ゴルフ場横のハイキングコース>

 30年前に行ったラインセンサスを今、全く同じ条件でやったらどうなったというシリーズ第4弾です。今回は埼玉県内のゴルフ場周辺を通るハイキングコースでやってみました。30年前と今とで環境がどのように違ってきたかを簡単にまとめると以下の通りです。

*30年前はハイキングコースの南側に沿ってゴルフ場が広がりコースの北側は全て自然林でしたが、その後25年くらい前に規模が拡張され、今では北側に沿ってもゴルフ場が広がっています。つまり、ゴルフ場の中にコリドー(回廊)状の緑地帯となったハイキングコースがあるイメージです。

*コース周辺に残存する森林は30年前と変わらず、おおむねコナラが優占する自然林(二次林)です。

*ゴルフ場の拡張に伴って、コースの周辺にはクリークや調整池等の水域が増えています。

*調査は11月初め、スタート地点を逆にして2日連続で実施しました。

 

…ということで、結果は下表のとおりです。

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 水域が増えたとか、森林の奥行きがなくなったとかいった影響が見られるような気ががしますが、観察種類数自体にあまり違いはないようですね。今は特定の鳥で観察数が増えてますが、これは森が薄くなったことと関係あるのかしら? ガビチョウは…やっぱりね。

  

<生物技術者が見た風景 ~ 佐倉市畔田谷津>

 千葉県佐倉市にある自宅から10分ほど歩いたところに畔田谷津という場所があります。細長い谷津の中の水田が全て放棄され荒地化したろころを佐倉市が自然公園にするべく整備を進めている場所です。整備方針については、佐倉市のHPに以下の通り記されています。

「畔田谷津ワークショップは、2007年(平成19年)より(仮称)佐倉西部自然公園予定地内の畔田谷津において、佐倉市谷津環境保全指針の目標と方針にそって、市民と市との協働で谷津環境を保全、再生するための活動を行っています。谷津田や斜面林の田園環境を回復し、豊かな谷津景観と生物、生態系を保全することで、多くの市民が環境保全活動や自然体験、散策などができるように整備を行っています。」

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畔田谷津の冬の風景

 昨年末に行って撮った写真ですが、週2回市民と協力してワークショップ活動を行っているだけに水田景観としてきれいに整備されているようですね。調査屋だったころはオオタカの生息状況踏査をよくやっていたのですが、彼らの食痕を見つける可能性が最も高い環境は水田の際にある歩きやすい林縁部で、まさしくこんな場所。ということで道を歩きながら地面を見ていると…ありました、ありました。

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写真の下方、落葉の上に羽が散乱してます

 写真下方の道沿いに羽が固まって落ちているのがわかりますか?これが食痕です。羽の主はキジバトで、我が家の上空で彼を何回か見ていますので、これはまずオオタカに間違いないですね。昨日は雨が降ってましたから、状況からみて雨が降る前にできたものでしょう。あのころは調査区域内にある林縁部をくまなく歩いてこいつをプロットしていたよなあ。いや、懐かしい。

 

<いきもの写真館No.116 キンクロハジロ

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 真っ黒な顔に小さな黄色い目が目立つカモです。体型はわりとでっぷりしてますがよく潜る「潜水ガモ」の仲間ですね。頭の後ろにぴょんと羽が出ているのがチャームポイント。昔の記憶(40年くらい前)では海岸沿いで見られるカモで、海から離れた河川や湖沼では見たことがなかったのですが、最近はむしろそちらでよく見るような。これはとあるお城の堀で撮ったものです。