研究部会通信2015年2月号

<動物遺物学の部屋>

第38回 フィールドで動物遺物を見つけよう(3)〜猛禽の食痕
 
雲一つない晴天の冬の日、葉がすっかり落ちて見通しが良くなった雑木林の縁を歩いてみましょう。

柔らかい土面を歩きますので少し歩きにくいですが、まあそこはがまんして。
すると、地面に羽根がいっぱい散らばっているところを見つけるでしょう。
こんなふうに。↓

ただ散らばっているんじゃなくて、地面に丸く広がって散らばっているようですね。
それによく見ると羽根ばっかりで、骨や足は見つかりません。
さてさて、これは一体なんでしょう。

答えは「猛禽類の食痕」です。
これはオオタカがドバトを襲った跡なんです。
ワシタカ類(猛禽類)の獲物への襲い方は種類によって違いがあって、オオタカは「待ち伏せ型」です。
森の中の小道沿いや畑との林縁部で、枝の上で獲物がくるのをじっと待ちます。
枝の下を獲物が通ると、飛びかかって襲うわけです。
獲物を仕留めると、ゆっくり食事できる場所まで持って行きます。
調査者は、その場所を「調理場」なんて呼んでいます。
そんなわけで、獲物が仕留められた場所には羽根しか残らないのです。
猛禽類の襲い方は、他にもハヤブサの「空中戦型」、チョウゲンボウの「ホバリング型」なんかがあります。

このシリーズ、次回のネタは・・・
やっぱり、3月といえばこれでしょ。↓

今日のお言葉です。
「山は自然の始にして又終なり」 ジョン・ラスキン

<いきもの写真館>
ここでは、私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介しています。
第78回はアカタテハです。

街でもよく見かけるタテハチョウですね。
タテハチョウの多くは成虫で越冬します。
3月になれば、そろそろこいつも見かけるようになるでしょう。