研究部会通信2016年6月号

<動物遺物学の部屋>

第51回 獣毛標本の整理
 獣毛はかたくて丈夫なケラチンという物質でできています。
爪と同じ物質で、常温で置いたままでも腐ることはなく、毛を食べる害虫も多くありません。
なので、古墳から発掘された毛皮に付着していた毛や、ピラミッドから出たミイラの頭髪でも普通に同定できます。
じゃあ集めた標本は机の上にほっといて溜めていけばいいかというと、もちろんそうではありません。
ただの一本線ですから、肉眼で見ただけでは種類が分かりませんので。
私の部屋では、集めた獣毛はビニールのチャック袋に入れて保管しています。
乾燥剤も防虫剤も入れず、ただ袋に入れるだけです。
それで、袋には必要なデータを油性マジックで書いておきます。
100円ショップあたりで売っている一番小さなサイズのチャック袋なら、写真プリントを入れて整理するアルバムに入ります。
プリントを入れるポケットにチャック袋を入れておくわけですね。
これで、書棚の一段が動物園に早変わり!
もし、世界中の哺乳類の標本が全て集まったとしても、小ぶりの書棚ひとつで済むでしょうね。
世界で唯一の、そして世界最小の動物園の出来上がりです。 
・・・なんてことを夢見てるんですが、まあ実現は無理でしょうね。
プレパラート標本は封入する物質により寿命が違い、通常使っているガムクロラール封入液は10年持ちません。
カナダバルサム(マツヤニですね)だと数十年持ちますが、ガラス板自体が保管しにくいものです。
ということで普段はチャック袋で管理して、必要な時に標本を作成することにしています。

今日のお言葉です。
「自然は常に純直にしてナイーブである。」 斉藤茂吉

<いきもの写真館>
 ここでは、私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介しています。
第90回はコフキトンボです。

このトンボ、平野の池には普通にいるらしいのですが、多くはシオカラトンボに似たさえない色彩をしています。
ところが、たまにこのように翅が赤くて紋がある個体が出るようで、帯型とかオビトンボとか呼ばれているそうです。
トンボには、私はあまり詳しくないのですが・・・。
先月、千葉県の乾草池で撮りました。
トンボ好きには有名なところです。

<研究部会からのお知らせ>
特にありません。