H21.10.23 マルカメムシ

マルカメムシ

<研究部会の活動報告>
*書籍プロジェクトの中間報告
 来年の1月に完成をめざしている書籍ですが、各担当者順調に執筆が進んでおりま
す。
ここでは、テキスト文章のみですがその中身をちょっとだけご紹介していきます。
今回は、川上さんが執筆中の中から「第?章 野外で見られる骨の種類と傾向」の中
の文章を少しだけ。

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 野外では、様々な場所で動物の骨を見付けることができる。
脊椎動物は、住宅地、森林、海岸を問わず、世界中のさまざまな環境に生息してい
る。
脊椎動物が死んだ場合には、もちろん死体が生産されるが、そのほとんどの部分は軟
部組織であるため、それほど時間をかけずに分解されることになる。
これに対して、骨は比較的分解しにくいため、死体の中で最も長時間野外に保存され
る。
このため、脊椎動物の遺物として、骨に遭遇する確率は高いはずである。
骨から生物種を同定することができれば、野外調査で得られる情報は、格段に多くな
るはずである。
ここでは、調査・研究の発展への貢献を目的として、骨による同定手法を提案する。
(中略)
 骨は、死体のなれの果てとみなすことができる。
死体は、捕食や腐敗などの過程を経て、骨として保存される。
一般に野外で見られる骨としては、下記のようなものが挙げられる。
1)交通事故、ガラス衝突などで死亡したものが、白骨化したもの。
2)肉食哺乳類や猛禽類等による捕食後の残滓。
3)捕食者のペリットまたは糞の内容物。
4)遺跡や鍾乳洞内などに保存された化石や半化石、遺物。
5)海岸の漂着物。
 骨からの同定方法としては、DNAを用いた同定、形態による同定の2通りがある。
これらの方法には、それぞれメリットとデメリットが存在する。
本書は、野外における簡易な識別を目的としているため、形態による同定を主題とす
る。
(以降、略)

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<生き物豆知識〜ジャノヒゲ>
ジャノヒゲは分類上ユリ科に属し、長さ10〜20センチ、幅2〜4ミリほどの細い葉が
たくさん地面から生えます。
常緑性なので冬でも美しい葉を林の下でみることができ、他の植物が少ない冬には手
頃な植物観察の材料になります。
ジャノヒゲは、北海道西南部から琉球まで日本全国の山地や低地の林の下に多く生
育する野生の植物なのですが、
リュウノヒゲ」とも呼ばれ庭園や公園にもよく植えられているので、名前は知らな
くても見かけることが多いのではないでしょうか。
一方、葉の細い常緑性の植物は他にもたくさんあって、野外では見慣れたジャノヒ
ゲとの区別に迷うこともあります。
同じユリ科のオオバジャノヒゲ、ヤブラン、ヒメヤブランや、科は異なりますが、
ピメカンスゲ(カヤツリグサ科)、
シュンラン(ラン科)などがジャノヒゲと葉が似ていて区別しにくいのですが、葉の太
さや長さ、全体の形、手触りなどが異なります。
また、ジャノヒゲは夏に長さ4ミリほどの白か薄紫の花を葉陰に咲かせ、冬には直径
7ミリほどのきれいなコバルト色の種子をつけるので、
同じ頃に実をつけるジャノヒゲに似たユリ科の植物とは、実の色や大きさも比べてみ
るともっと区別しやすくなります。
冬はジャノヒゲのような常緑性の草本に目を向けさせる季節なのかもしれません。

<ワンポイント環境問題〜二輪車リサイクル>
 日本国内においての二輪車保有台数は約1337万台(2003年3月末現在)となってま
すが、その中から年間約120万台もの使用済み二輪車が発生しているといわれていま
す。
自動車リサイクル法が2005年1月から施行されますが、二輪車はこの法律の対象とは
なっていません。
その結果、使用済み二輪車は販売店や資源回収業者、自治体などが回収して処理して
います。
しかし、残念なことにユーザーが手間や費用を惜しんで路上や空き地等へ不法投棄し
てしまうケースが後を絶たないのが現状でした。
 そのような事態の改善のため、経済産業省環境省指導のもとホンダ・ヤマハ・ス
ズキ・カワサキの国内二輪製造4メーカーと輸入代理店11社、更に関係各団体が協力
し、自主的に廃棄二輪車のリサイクルシステムを構築しました。
これは2004年の10月1日から運用され始めています。
 このリサイクルシステムは、ユーザーが最寄りの廃棄二輪車取扱い店または直接指
定取引窓口に持ち込むと、最終的な処分を行う処理・リサイクル施設(全国14か所)に
送られて適正に処理される仕組みとなっています。
二輪車廃棄のときはこのリサイクルシステムを利用するようにしましょう。

*<生き物豆知識>と<ワンポイント環境問題>の掲載情報は、イカリ消毒株式会社
環境保健情報室の協力によりイカリ消毒(株)発行の月刊「クリンネス」から提供さ
れております。
この雑誌についての詳細は下記URLにどうぞ。
http://www.ikari.co.jp/ 月刊「クリンネス」編集担当:大谷

<いきもの写真館>
 ここでは、特に私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介します。
第12回はマルカメムシです。
秋までは野山で静かに暮らしているこやつらですが、秋も深まると建物にたくさん
寄ってきて干している洗濯物についたり、窓の隙間に入り込んだり・・・
くさい臭いも出して、かなりヒンシュクを買ってしまう虫です。
そんな訳で、この時期には某消毒会社の「カメムシジェット」なる忌避スプレー剤が
良く売れます。
よく見るとかわいい格好だと思うんですが・・・

<研究部会からのお知らせ>
*お知らせする事項は、特にありません。

 このメーリングリスト通信に関するご意見、お問い合わせ等は下記までお願いしま
す。
 研究部会長  邑井良守イカリ消毒株式会社) murai@ikari.co.jp