H22.01.21 ニホンアカガエル

ニホンアカガエル

<研究部会の活動報告>
*書籍プロジェクトに関するご報告
 各執筆者による編集作業が順調に進んでおります。
内容は「獣毛同定」と「羽毛同定」、「骨片同定」の3部構成で体裁はA4版、全体で
300頁弱、図表写真は大部分がカラーです。
確定した目次は以下の通りです。

野生動物調査技術書(仮題) 総目次

巻頭言
この書籍について
総目次
コラム1 人と動物の交差点「ブタ〜家畜の世界から」
「第1部 獣毛による同定技術」 邑井良守イカリ消毒株式会社)
緒言〜獣毛から動物を知る技術
第1章 獣毛による同定技術の解説
1.獣毛の同定に関わる基礎知識               
2.これまでに分かったこと
3.獣毛による同定手法の解説           
4.同定に役立つ類別形質の解説
5.獣毛同定に関わる用語
第2章 フィールドサインから検出される獣毛の同定
この章について
1.糞・ペリットから検出された獣毛を同定する
2.関東地方の平野から低山帯に生息する小型哺乳類14種の獣毛の特徴
3.獣毛による(対馬諸島産)ネコ目中型哺乳類5種の同定類別
コラム2 人と動物の交差点「ネコ〜ペットの世界から」
第3章 樹上性哺乳類調査における巣箱の採取獣毛同定
この章について
1.樹上性哺乳類の定義
2.巣箱による生息確認調査の問題点と獣毛同定技術の利用
3.採集獣毛の同定技術を導入した調査手順
4.巣材から獣毛を分離する簡便法
5.主要な樹上性哺乳類の獣毛の特徴              
6.巣箱採集獣毛の同定事例
第4章 獣毛による近縁種および競合種の類別
1.ネコとツシマヤマネコ     
2.ドブネズミとクマネズミ
3.ニホンジカニホンカモシカ
4.ニホンイタチとチョウセンイタチ
5.アカネズミとヒメネズミ
6.アズマモグラとコウベモグラ
7.その他の近縁種・競合種                         
  
9.獣毛により同属異種は同定できるか 
第5章 獣毛を調べるその他の技術(獣毛からどこまで知ることができるか)
1.獣毛から個体を識別する
2.同定類別以外の生態情報を得る
おわりに〜フィールド調査技術の可能性
参考文献 
コラム3 人と動物の交差点 「ネズミ〜害獣の世界から」
「第2部 羽根による種の同定」 藤井幹(財団法人日本鳥類保護連盟
●はじめに 
●羽根の構造
●羽根の種類・名称
●識別に利用できる羽根の特徴
第1章 外部形態からの識別
利用方法
1.部位の識別
2.よく見られる種の羽根と比較してみよう!
3.特徴のある羽根の識別  
■検索図
風切羽(斑または帯が1〜3箇所)
風切羽(斑または帯が多数)
風切羽(その他の特徴のある模様)
尾羽の検索
■カラープレート
第2章 顕微鏡による小羽枝構造からの識別 
1.小羽枝の構造と注目するポイント
2.識別を試みる
3.グループ別の識別点
参考となる図書・文献
謝辞
コラム4 人と動物の交差点「オオコウモリ〜天然記念物の世界から」
「第3部 骨による鳥類の同定」 川上和人(独立行政法人森林総合研究所
第1章 野外で見られる骨の種類と傾向
1.骨を認識する
2.野外で見られる骨の状態
第2章 同定の目的と限界
1. 同定の目的
2.同定の限界
第3章 同定の手順
1.生物相の把握
2.手がかりの検出
3.分類群の決定
4.鳥類の骨の特徴
5.部位の決定
6.骨の同定
7.最小個体数の把握
第4章 鳥類骨ほぼ原寸大図鑑
1.同定に使用しやすい部位
2.図鑑参照上の言い訳
■ほぼ原寸大図鑑
参考文献
謝辞
コラム5 人と動物の交差点 「ヒト〜人と動物が紡ぐ未来」
著者略歴
あとがきと謝辞

プリントアウトした一次原稿については2010年1月の総会開催時に展示する予定で
す。

<生き物豆知識〜ヤマウルシ>
ヤマウルシは漆をとる中国・インド原産のウルシと同じ仲間で、ウルシと同じよう
に樹液に触れるとかぶれます。
特に若葉の頃は葉が柔らかく折れやすいので、ヤマウルシの幼樹がたくさん生えてい
るところをうっかり通るとかぶれやすくなります。
植物の観察会ではヤマウルシにはできるだけさわらないように注意します。
かぶれるというとちょっと敬遠されがちなヤマウルシですが、紅葉では秋も遅くな
らないと色づかないカエデに比べ早くから色づくうえ、「紅」の文字にふさわしく、
みごとに透けるような赤となり、初秋の山を飾っていきます。
ヤマウルシはウルシ科の落葉高木で、北海道から九州の山地や丘陵地の落葉広葉樹林
に生育しているので、秋の初め遠くから見て紅葉がきれいだと思って近づいてみると
ヤマウルシであることが多いのです。
このヤマウルシを始め、ウルシ科の植物はハゼノキ・ヌルデ・ツタウルシなど紅葉
がきれいなものが多く、ハゼノキは時折、観賞用に人家の庭に植えらているのを見か
けます。
野生では、ヌルデとツタウルシは日本全国、ヤマハゼは関東以西、ハゼノキは関東南
部以西に生育しています。
ヤマウルシは一枚の葉が羽状複葉という独特の形をしていて、長いもので50センチも
あります。
秋にウルシ科の植物の紅葉を鑑賞してかぶれないように、ぜひとも春に葉を覚えて
おきたいものです。
かぷれに気をつけ、野山を散策しましょう。

<ワンポイント環境問題〜難病>
昔から治らない、あるいは治りにくい病気を難病と呼んでいますが、厚生労働省
は、原因が不明、治療法が未確立でかつ後遺症を残す恐れが少なくない、そして経過
が慢性に及ぶために経済的にも精神的にも負担の大きい疾患を「特定疾患」として指
定し、
医療費の助成や治療法の研究などを行ってきました。
一般的にはこの特定疾患に指定された病気を難病というようになっています。
1960年代後半から70年代にかけて、原因のよく分からない「スモン」という神経の
病気が多発したのを契機に、スモンの治療研究体制の整備を大きな目的として、1972
年に医療費の助成制度などが開始されました。
その後、スモンはキノホルムという薬剤の副作用が原因であることが確定し、キノホ
ルムの使用が中止され患者数は激減しました。
さだまさし原作で映画化・テレビドラマ化された「解夏」の主人公が患っていたべー
チェット病もこのとき難病に指定されました。
スモンを除いて、他の多くの難病の原因は未だはっきりはしていませんが、根治で
きないまでも病気の経過や有効な治療法などについての情報はかなり蓄積され、実際
の治療の場で役立てられています。
また治療が長期にわたる難病患者の療養生活を地域で支援していこうという試みも
広まっています。
かかりつけ医を中心に専門病院、地区医師会、保健所、訪問看護ステーション、ボラ
ンティアなどが協力して在宅療養中の難病患者のケアにあたっています。
難病への理解を深めましょう。

*<生き物豆知識>と<ワンポイント環境問題>の掲載情報は、イカリ消毒株式会社
環境保健情報室の協力によりイカリ消毒(株)発行の月刊「クリンネス」から提供さ
れております。
この雑誌についての詳細は下記URLにどうぞ。
http://www.ikari.co.jp/ 月刊「クリンネス」編集担当:大谷

<いきもの写真館>
 ここでは、特に私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介します。
第16回はニホンアカガエルです。
まだ寒さが厳しい2〜3月に何故か地上に現れて、産卵したらまた冬眠を決め込む、と
いうカエルです。
これだけ寒ければヘビもいないから早いうちに産んでおこう、という作戦なのだと学
者は言っておりますね。
個人的には背中にすっと通った2本の線がなかなかかっこいいなあと思います。

<研究部会からのお知らせ>
*書籍プロジェクトに関するお知らせ
1月30日開催の総会で一次原稿を展示し、内容や体裁について会員からの意見や要望
を受け付けます。
2010年前半を目処に、会員向けの書籍として印刷して会員に無償で配布します。
印刷数は100部程度を予定しております。
会員に配布した残部については、要請があれば献本を検討します。
また、会員向けの書籍とは別バージョンで、無償配布後に一般書籍化の編集を開始し
ます。
一般書籍化にあたっては発行の引き受け元を探し、必要に応じて各種基金や研究補助
金への申請も検討します。
一般書籍化の作業に関するスケジュールは未定ですが、当面2010年末までの完成をめ
ざします。

 このメーリングリスト通信に関するご意見、お問い合わせ等は下記までお願いしま
す。
 研究部会長  邑井良守イカリ消毒株式会社) murai@ikari.co.jp