H22.12.06 書籍発行!

<研究部会の活動報告>
*「動物遺物学の世界へようこそ」の一般書籍化について
 今年、FBN会員向けに制作・配布しました表記書籍の一般書籍化が決定しました。
早ければ今月末にも刊行される運びとなっております。
1月の総会開催時には参加者にお渡しできるよう、鋭意努力中です。

<生き物豆知識〜カンムリツクシガモ>
2003年に、江戸幕府開府400年ということで国立科学博物館で「江戸大博覧会〜モノ
づくり日本〜」展が行われました。
江戸時代の科学知識や工業技術、博物学のレベルの高さをモノで振り返るというもの
でした。
会期の後半見学に行った私は、ある本の前で歓声を上げてしまいました。
目の前には堀田正敦が編纂させた通称「堀田禽譜」の「朝鮮をし」のぺージが広げら
れていました。
今はもういなくなってしまったある鳥が鮮やかな彩色で描かれていました。
1917年、釜山の剥製屋でこの鳥の剥製を見つけた黒田長禮氏は新種であることに気
づき、カンムリツクシガモとして学会に発表し ましたが、当初、根拠は一体の剥製
だけだったので、カモにはよくある雑種ではないか、という疑問も出されました。
しかし「堀田禽譜」やほかの江戸時代の書物の記述から朝鮮産で、日本にもときどき
飛来する種であったことがわかりました。
記述の多さからすると、大陸から輪入され、博物学好きだった大名たちに飼われてい
たのかもしれません。
 カンムリツクシガモは198O年代までは朝鮮やその北のウスリー地方で目撃情報が
あったそうですが、現在まったく確認されない鳥 になってしまいました。
彼らがどんな場所で暮らし、どんなものを食べ、どんな声で鳴いていたのか、今と
なっては誰にもわかりません。
「堀田禽譜」の中の「朝鮮をし」もやはり何も言わずに横目に私を見つめるばかりで
した。

<ワンポイント環境問題〜トリインフルエンザと学校教育>
 高病原性トリインフルエンザの発生で、学校で飼育されているニワトリ・チャボ・
ヒルやウズラなどの鳥類が感染対象であると して、一部に飼育の中止や処分が報
じられています。
これは2004年にベトナムやタイで32例の人への感染があったことによります。
 日本政府は人への感染について「この病気にかかったニワトリと接触し羽や粉末状
になったフンを吸い込んだり、そのニワトリの フンや内臓に触れた手を介して鼻か
らウイルスが入るなど、人の体内に大量のウイルスが入ってしまった場合にごくまれ
に感染する ことがある」ことや、「普通の生活の場での病気のニワトリとの接触
ないことから、感染の可能性が極めて低い」などの情報を提 供しています。
 学校教育における動物飼育は学習要領にもとづいて、児童に生命の尊重や思いやり
の精神を培うと同時に、生命科学に対する興味 と関心、さらには学習意欲を高める
成果を期待することによります。
学校での動物飼育については、飼料代、土日の飼育管理や衛生管理などの問題点が
指摘されています。
しかし、飼育動物特有の習性・行動や飼育環境の理解不足もあります。
最近の高病原性トリインフルエンザの発生は、動物由来感染症の検討も重要であるこ
とが確認され、日本学術会議科学教育研究運絡 委員会・獣医学研究連絡委員会は
「学校における動物飼育に関する提言」や「学校における飼育動物」のシンポジウム
を開催し、現 状把握と今後の体系化の方向性を模索しています。

*<生き物豆知識>と<ワンポイント環境問題>の掲載情報は、イカリ消毒株式会社
環境保健情報室の協力によりイカリ消毒(株) 発行の月刊「クリンネス」から提供
されております。
この雑誌についての詳細は下記URLにどうぞ。
http://www.ikari.co.jp/ 月刊「クリンネス」編集担当:関場

<いきもの写真館>
 申し訳ありません。
お知らせにファイルを添付しました関係で、今回はお休みです。

<研究部会からのお知らせ>
*「動物遺物学の世界へようこそ」の一般書籍PR版作りました。
 一般書籍化される「動物遺物学の世界へようこそ」の1部を抜粋したPR版資料を作
成してみました。
添付しますので、皆様ご笑覧ください。
お知り合いの皆様にもご紹介いただければ幸いです。

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す。
 研究部会長  邑井良守イカリ消毒株式会社) murai@ikari.co.jp