H23.05.24 クロヤマアリ

クロヤマアリの巣

<研究部会の活動報告>
*報告できる事項は特にありません。

<生き物豆知識〜トビムシ
 最も低温に強い昆虫は、トビムシ類のツチトビムシやヒメトビムシの仲間でしょう
トビムシはゴキブリよりもさらに起源の古い、原始的な無翅昆虫です。
トビムシという和名は、腹の下に叉状器(跳躍器)をもち跳ぶことに由来します。
トビムシ目の昆虫は日本に約340種、世界に3500種生息しています。
複眼はなく8個以下の小眼が集まった聚眼をもち、中には眼を欠く種類もあります。
体長は0.3〜5ミリ、無変態で、食物は腐植質やコケ類です。
 昭和基地から内陸へ1000キロも入った南緯84度付近の南極大陸では、冬季の気温がマイナス70度にも達します。
この厳しい環境に棲んでいる昆虫は、12種のトビムシだけです。
 トビムシは近づく冬に備えて、まず体液中の水分を少なくし、次にグリセロールやグルコースなどの「不凍液]を多量に蓄積して凍結を防いで休眠するので、マイナス35度まで凍りません。
さらにトビムシは、「コケの温室」を利用して、マイナス70度という超低温を克服する戦略をもっています。
露岩域に生えているコケ(蘇類や苔類)の群落内は外気温よりも高い温度が保たれ、マイナス35度以下には下がらないので、トビムシは凍結死を免れるわけです。
コケの温室内での合理的な休眠により物質代謝が最低限に抑えられ、餓死も凍死も起こりません。

<ワンポイント環境問題〜フードマイレージ
 「地産地消」「スローフード」「フードマイレージ」といった言葉がよく聞かれるようになりました。
o-157BSE、食品の偽装表示間題など食に対する不安が高まっている現代、「生産者の顔が見える食品を求めたい」「とれたものを新鮮なまま食べたい」「流通過程におけるコストやエネルギー、環境負荷を減らしたい」「産地履歴のはっきりした食品が欲しい」といった消費者の要望が、さまざまな運動を生み出しています。
地産地消とは、その土地でとれたものをその土地で食べるということです。
最近は学校給食や地元スーパーで実践されたり、道路沿いの「道の駅」で新鮮な農産物や加工食品が売られたりしています。
スローフードは北イタリアで生まれたテーマですが、食べ物と食事のあり方を見つめ直し素材や料理について考えようという運動で、地産地消との共通点が見られます。
 日本の食料自給率は、40パーセントに過ぎません。
輸入食科が日本に来るまでにどれだけの輸送エネルギーを使ったか、輸入量とその距離を掛けて算出した指数をフードマイレージといいます。
日本のフードマイレージは他国に比べて318倍も多く、輸送手段である飛行機や船舶の排出する二酸化炭素地球温暖化を招くとして、国際問題にもなりかねません.
 農地・農業人口の少ない国であるといったことや、大都会近くにはほとんど農地がないといった大間題はあるものの、食料自給率の向上や地産地消の推進など、食料問題について真剣に考えることが必要となっています。

*<生き物豆知識>と<ワンポイント環境問題>の掲載情報は、株式会社環境文化創造研究所の協力によりイカリ消毒(株)発行の月刊「クリンネス」から提供されております。
この雑誌についての詳細は下記URLにどうぞ。
http://www.ikari.co.jp/ 月刊「クリンネス」編集担当:関場

<いきもの写真館>
 ここでは、特に私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介しています。
第39回はクロヤマアリです。
といっても生体じゃなくて巣です。
畑のそばの裸地に巣を作っていました。
これは、かなり大きな巣ですね。
巣から出てくるアリたちは、だいたい半径2mのあたりで活発に餌を探し回っているようです。

<研究部会からのお知らせ>
*生物技術者連絡会技術研究報(仮称)発刊の準備報告と投稿文募集のお知らせ

季節も初夏に向かい、野外調査が楽しい時期となって参りました。
会員の皆様には日々ご健勝のことと思います。
生物技術者連絡会の研究部会では、雑誌形式の技術研究報の発行準備を進めております。

詳細については次の通りです。

発行頻度:当面年1回、将来的には年2回の発行を目指します。
掲載する内容:生物または生物技術に関することなら何でも結構ですが、以下のような話題に重点をおきたいと思います。
*野生生物の生息情報:貴重種の生息情報というより普通種の生息動向に関する情報があるとありがたく思います。
*生物技術に関する事例報告:成功例だけでなく失敗例についてもご報告いただけるとありがたく思います。
*生物に関する書籍紹介:特に生物調査に使えるかどうかを観点とした書評が入るとありがたく思います。
掲載するカテゴリ:「原著論文」「報告」「総説」「短報」「書評」などの分類整理を考えております。
投稿規定:何でもOKという訳にはいきませんので簡単な規定を作ることを考えております。
なお、原著論文や総説には形式的に査読を取り入れる予定です。

この雑誌発行計画は生物技術者連絡会の活動を活性化するため、そして本来の目的である会員の情報共有や技術向上を具体化させるためのものです。
趣旨をご理解の上、投稿が可能な方々のご参加をお願いします。
具体的な発行計画と募集要綱、投稿規定につきましては、追ってホームページやメール等でご案内します。

 このメーリングリスト通信に関するご意見、お問い合わせ等は下記までお願いします。

 研究部会長  邑井良守イカリ消毒株式会社) murai@ikari.co.jp