研究部会メーリングリスト通信 2019年7月号
<生物技術者の事典 〜 巨樹、巨木>
大きな木のこと。1988年から環境省が巨樹調査を実施しており、地上から約130cmの位置での幹周が300cm以上の木を調査対象としている。環境省では上記の定義に合う木を巨木データベースとして現在68000本ほど記録しており、東京都奥多摩町立日原森林館のサイトにおいて一般に公開されている。実際には、木は種類や生育状況によって形は様々なのでこの数値だけで巨樹、巨木として判定するには困難を伴う。
生物技術者の独り言:個人的な感覚ですが、この定義だと実際には人知れず存在するものがもっともっとあるでしょうね。また株立ちしたり変形したりしてるものが多いですから、測った数値と実際に感じる「巨木感」にずれが生じることも多いんじゃないでしょうか。巨木学なる言葉を編み出した植物写真家は、名前がついて親しまれているものだけを巨木として呼ぼうよ、なんて言っています。つまり、縄文杉とか神代桜とかいうやつですね。そんな中の一つ、「森の神」と呼ばれている巨木を最近見に行きましたので写真を2枚ほどご覧ください。日本一と認定されたブナだそうです。青森県の十和田湖の近くにあります。
<今月のデータ 〜 マレーゼトラップって知ってる?>
マレーゼトラップは飛翔する昆虫を捕まえるトラップで、スウェーデンのルネ・マレーゼという方が考案したのでこの名がついています。名前を英語読みにしてマレーズトラップと呼ぶこともあります。一見、キャンプで使うテントのような形で、下部が開放されています。虫は下部からテントの中に入り、上へ上へと移動して最終的に保存液が入ったビンに入るという仕組みです。過去にこのトラップを使って、ススキ原になった放棄水田と雑木林で捕獲調査をしたことがあります。その結果、表のような虫が捕まりました。
このトラップ、かなりかさばるので仕掛ける場所に苦労しますが、開いた傘を伏せたような形の羽化トラップよりも虫はよく捕まります。下部で布がひらひらしますので、アブもよく捕まりそうです。アマゾンあたりで、図に示した形のものが1万円くらいで売っています。チェコ製だそうです。
<いきもの写真館No.99 ウミネコ>
ウミネコの幼鳥です。八戸市にある蕪島はウミネコの繁殖地として有名ですが、この島、市街地のすぐそばにあって人とウミネコとの距離が非常に近い光景が見られます。写真は蕪島からほど近い場所にある種差海岸で撮ったもので、近くからカメラを向けても全く平気な様子です。種差海岸はこんなところです。
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邑井 良守
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