生物技術者連絡会メーリングリスト通信 2021年3月号

生物技術者連絡会メーリングリスト通信 2021年3月号 <生物技術者が見た風景 〜 ホクリクサンショウウオの発見場所> ホクリクサンショウウオというのは、1971年に石川県羽咋市で初めて発見された新種のサンショウウオです。最初は既知種のアベサンショウウ…

生物技術者連絡会メーリングリスト通信 2021年2月号

生物技術者連絡会メーリングリスト通信 2021年2月号 <生物技術者のための用語集 〜 事後調査> 「環境影響評価法に基づく環境保全措置指針に関する基本的事項」第5.2.(6)で規定される調査。(以下原文抜粋)評価書手続きを終えた事業着手後、工事中の環境の…

生物技術者連絡会メーリングリスト通信 2021年1月号

生物技術者連絡会メーリングリスト通信 2021年1月号 <今月のデータ 〜 30年後どうなった?その4:ゴルフ場横のハイキングコース> 30年前に行ったラインセンサスを今、全く同じ条件でやったらどうなったというシリーズ第4弾です。今回は埼玉県内のゴルフ場…

生物技術者連絡会メーリングリスト通信 2020年12月号 <生物技術者が見た風景 〜 陵墓の森> 奈良県に「山野辺の道」という散歩道がありまして、10年ほど前から気に入って何度も歩きに行っています。天理市から桜井市に至るコースですが、20数キロほどの距離…

研究部会メーリングリスト通信 2020年11月号

生物技術者連絡会研究部会メーリングリスト通信 2020年11月号 <生物技術者が見た風景 〜 近所のスーパーマーケットで> 今月の初め、買い物に行こうと家から歩いて3分のスーパーマーケットに行ったら入口にこんな貼り紙がありました。 これには伏線がありま…

生物技術者連絡会メーリングリスト通信 2020年10月号

<生物技術者が見た風景 〜 雄国沼の秋> こんな道をとぼとぼ歩きます 私がまだ20代のころ、1980年代のことですが季節外れで誰もいない広大な湿原をとぼとぼ歩く、ということにとてもはまっていました。当時住んでいた千葉から、栃木県の井戸湿原や福島県の…

研究部会メーリングリスト通信 2020年9月号 

研究部会メーリングリスト通信 2020年9月号 <生物技術者が見た風景 〜 刺さないスズメバチの巣を作る> 長く生物調査屋と消毒屋を掛け持ちしていると、いろいろと変わったことも経験するというお話を一つ。2018年9月号で「スズメバチの巣から何メートル離れ…

研究部会メーリングリスト通信 2020年8月号 

研究部会メーリングリスト通信 2020年8月号 <生物技術者が見た風景 〜 中池見湿地> 先日、梅雨が明けたので久々に遠出してみました。行先は敦賀市にある中池見湿地です。海沿いではなく町のすぐそばの山中にあるにもかかわらず国定公園の指定地に選定され…

研究部会メーリングリスト通信 2020年7月号

研究部会メーリングリスト通信 2020年7月号 <生物技術者のための用語集 〜 侵略的外来種> 環境省の定義によれば、「人間の活動によって本来生息していない地域に入ってきた、その地域の生態系や人間活動に被害を及ぼすおそれのある生物」のこと。海外から…

研究部会メーリングリスト通信 2020年6月号

研究部会メーリングリスト通信 2020年6月号 <生物技術者が見た風景 〜 金沢城公園のモリアオガエル産卵状況> 昨年の6月に、ろくに情報を仕入れずに金沢城公園のモリアオガエル産卵を見に行って、最大の産卵場所をピーク時に見に行かなかった(かもしれない…

研究部会メーリングリスト通信 2020年5月号

研究部会メーリングリスト通信 2020年5月号 <生物技術者が見た風景 〜 能登の桶滝> 能登半島は石川県の一部ですが、人が多く住む地域から遠い遠い辺境の地という印象が石川県人の間にもあります。なにしろ、金沢から能登半島の先端へ行くよりも京都大阪へ…

研究部会メーリングリスト通信 2020年4月号 

研究部会メーリングリスト通信 2020年4月号 <生物技術者が見た風景 〜 国宝建築物とムササビ> 人間に様々な危害を及ぼす哺乳類をよく「害獣」といいますが、危害をどのように捉えるかによって害獣の種類も変わります。一般的にムササビは貴重な樹上性哺乳…

研究部会メーリングリスト通信 2020年3月号

研究部会メーリングリスト通信 2020年3月号 <生物技術者の事典 〜 河川水辺の国勢調査> 環境に関する基礎情報の収集・整備を目的として全国109の1級河川及び主要な2級河川の水系、国や自治体管理のダム周辺を対象として国土交通省や自治体等により1990年か…

研究部会メーリングリスト通信 2020年2月号

研究部会メーリングリスト通信 2020年2月号 <生物技術者が見た風景 〜 タコノキとクマネズミ> 1990年代の後半から10年ほど、小笠原諸島に通っていたことがあります。世界遺産になる前のことです。仕事と遊びの両方で、かれこれ10回ほども行ったでしょうか…

研究部会メーリングリスト通信 2020年1月号

研究部会からのお知らせ 2016年よりブログへの投稿を中断していたFBN会員向けのメーリングリスト通信をリニューアルして投稿再開します。以前と同じく、今後毎月投稿して参ります。 研究部会メーリングリスト通信 2020年1月号 <生物技術者が見た風景 〜 森…

研究部会メーリングリスト通信 2019年12月号

研究部会メーリングリスト通信 2019年12月号 <今月のデータ 〜 セアカゴケグモどうなった?> セアカゴケグモ 初めてセアカゴケグモが見つかって大騒ぎになったのは1995年のことですが、その後マダニやヒトスジシマカ等の感染病媒介虫という強力なライバル…

研究部会メーリングリスト通信 2019年11月号

研究部会メーリングリスト通信 2019年11月号 <生物技術者の事典 〜 SDGs> 2015年9月の国連サミットで採択された、持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成された国際目標。2016年から2030年にかけての目標と位置づけられている…

研究部会メーリングリスト通信 2019年10月号

研究部会メーリングリスト通信 2019年10月号 <生物技術者の事典 〜 トレイルカメラ> 赤外線センサーを備え、防水対策を施した屋外調査用のカメラの通称。このカメラを仕掛けて生息する哺乳類を確認する手法は、今ではすっかり野外の哺乳類調査に欠かせない…

研究部会メーリングリスト通信 2019年8月号

研究部会メーリングリスト通信 2019年8月号 <生物技術者の事典 〜 アセス法の事後調査> 環境アセスメント法は、事業者が事業を開発するにあたって環境への影響を予測・評価し、適切な環境保全措置(対策)を事業に組み入れることを目的としている。しかし…

研究部会メーリングリスト通信 2019年7月号

研究部会メーリングリスト通信 2019年7月号 <生物技術者の事典 〜 巨樹、巨木> 大きな木のこと。1988年から環境省が巨樹調査を実施しており、地上から約130cmの位置での幹周が300cm以上の木を調査対象としている。環境省では上記の定義に合う木を巨木デー…

研究部会メーリングリスト通信 2019年5月号

研究部会メーリングリスト通信 2019年5月号 <生物技術者が見た風景 〜 金沢城のモリアオガエル①> 現在住んでいる金沢市の街の真ん中に金沢城址があります。以前は金沢大学のキャンパスとして利用されていましたが、現在は金沢城公園としてきれいに整備され…

研究部会メーリングリスト通信 2019年4月号 

研究部会メーリングリスト通信 2019年4月号 <生物技術者が見た風景 〜 ニホンザル> 私が野生生物調査の面白さに目覚めたのは1975年、東京都桧原村でニホンザルの「渡り」を見たときでした。大学に入って何をしているのかもよく分からないクラブ活動に誘わ…

研究部会メーリングリスト通信 2019年3月号 

研究部会メーリングリスト通信 2019年3月号 <今月のデータ 〜 ハシブトガラスの住宅事情> 今年の1月号にカラスのヒナ数について紹介しましたが、今度は住宅事情です。都会ではカラスはどこに、どんな材料を使って巣を作っているんでしょう? 東京都の首都…

研究部会メーリングリスト通信 2019年2月号

研究部会メーリングリスト通信 2019年2月号 <生物技術者が見た風景 ~ 雪と渓流とナガレタゴガエル> 私が大学生だったころ、1980年代のことですが調査のフィールドにしていた東京都桧原村の渓流に不思議なカエルが現れる。それも真冬に、という話を聞きま…

研究部会メーリングリスト通信 2019年1月号

研究部会メーリングリスト通信 2019年1月号 研究部会からのお知らせ 2016年よりブログへの投稿を中断していたFBN会員向けのメーリングリスト通信をリニューアルして投稿再開します。以前と同じく、今後毎月投稿して参ります。 <今月のデータ ~ 東京のカラ…

研究部会通信2016年6月号

<動物遺物学の部屋>第51回 獣毛標本の整理 獣毛はかたくて丈夫なケラチンという物質でできています。 爪と同じ物質で、常温で置いたままでも腐ることはなく、毛を食べる害虫も多くありません。 なので、古墳から発掘された毛皮に付着していた毛や、ピラミ…

研究部会通信2016年5月号

<動物遺物学の部屋>第48回 ニホンオオカミの獣毛を同定できるか? 獣毛の同定に関して、けっこう奇妙な問い合わせを受けることがあります。 「殺人事件の捜査に協力してくれないか」とか、「古墳から発掘された武具に使われている毛皮が何の動物か分からな…

研究部会通信2016年3月号

<動物遺物学の部屋>第47回 フィールドで動物遺物を見つけよう(12)〜木の上にあるのは? 野山を歩いていると目線より上の周囲を、山の稜線や森の樹々を普通はよく見ますよね。 今まで紹介した動物遺物は足元ばかりにあるものでしたが、もちろん目線より…

研究部会通信2016年1月号

<動物遺物学の部屋>第46回 フィールドで動物遺物を見つけよう(11)〜フットプリント(足跡) 野山で見られる動物たちの遺したもの、ここでは動物遺物と呼んでますが、その真打ちといえば足跡ですね。 英語ではフットプリント、これを紹介したフィールド…

研究部会通信2015年12月号

<動物遺物学の部屋>第45回 獣毛同定技術に関するよもやま話〜イヌネコ獣毛の同定は難しい 獣毛を同定する仕事を長年続けていると、いろいろなことが分かってきます。その中で思うのは、イヌやネコのような家畜化された動物の毛を同定するのはとても難しい…